前回まではこちら。
カルガリーで医者にかかる ①
カルガリーで医者にかかる ②

同僚からクリニックに行くように勧められたので、午後になって家に帰ってきたDGに「クリニックにいきたい」と伝えました。

DGはそこまで調子が悪かったとは予想をしていなかったようなのですが、それでも近くのウォークインに連れて行ってくれました。それが木曜日の午後3時半ごろ。

そこのウォークインは比較的すいていたため、あまり待つこともなくすぐにドクターに会うことができました。症状をつたえると、触診をしたり尿検査をした後に「盲腸の疑いがあります。進行が遅いので違うかも知れませんが(最初の痛みから右下腹部に痛みが移動するのに3日かかっている)、痛みの移動のパターン、触診をした感じでは典型的な(教科書的な)盲腸の症状です。ちゃんと確認するに越したことはありませんがここではできません。紹介状を書きますからすぐにERに行ってください」とのこと。

ここに至って、やっとDGも事態の深刻さに気付いたようでした。

フットヒルズの病院が一番近いのでそちらに向かい、病院にチェックインしたのが午後4:30。紹介状は渡したものの、当然考慮されることなく(このあたりがとてもカルガリーっぽい)、無慈悲にも待ち時間4時間を宣告されます。

これもカルガリー市民には知られた話なのですが、カルガリーの救急は救急ではないのです(まさに死にそうな場合は優先される、と信じたい)。救急で病院に行ったものの、4~5時間待ちは当たり前。これは救急車で病院に運ばれても一緒です。

昨夜よりも痛みは軽くなってはいるものの、待合室での5時間待ち(ええ、4時間と言われましたけど、呼ばれるまでには5時間かかりました)はつらかったです。

夜9時半ごろになって、やっと待合室から中に呼ばれました。やっとベッドに横に慣れたものの、カバーはないので寒いまま。DGが来ていたジャケットをかけてくれました。

ナースが来るまでにさらに1時間。

ドクターが来るまでにさらに1時間。

まるで冗談のようですが事実です。ドクターも盲腸かどうかの判断がつけづらかったようで、CTスキャンを取ることになりました。さすが病院。CTも同じビルの中にあります。でも、当然、順番待ちです。夜中の12時過ぎに予約が取れたそうで、それまでに水を900ml飲むように指示を出されました。

1時間かけて水を900ml飲むのはつらかったです。普段の私はコーヒーは飲むものの、水は殆ど飲みません。飲む場合はレモンを入れて、すこし味を付けてから…なので、ただの水、というのはつらかったです。

12時半にCTの部屋に移動。10分で終わるからDGはここで待つように、と言われたので一人で車いすで運ばれました。

しかし!10分で終わるはずがない。私の前に4人は順番を待っていました。

1時間後、やっとCTを撮り終えて元の場所に返されました。そのころにはベッドはほかの患者で埋まっていたため、再び椅子に座って待つことに。このときにはすでに夜中の1時半。DGには体力的にもつらかったと思います。

その間にも軽い脳卒中で運ばれた人、ガン患者で調子が悪くなって病院に来た人などが同じように椅子に座って待っていました。

日本の病院ってすごく親切なんだな、としみじみと思いました。

待合室の時から同じように待っていた男性。夜中の2時過ぎに結果が出たようで、私のすぐ隣でドクターが結果を男性に話していました。
「心配するほどの発作じゃないけれども、心臓の専門医にすぐに見てもらうようにね」と言われているではないですか。軽いとはいえ心臓の発作があった患者を、待合室と治療場所の椅子で7-9時間も待たせていたんだ…と恐ろしくなりました。

ガン患者の女性は、急に体調が悪くなったので、救急車で来たらしいですが、財布も何も持たずに運ばれてきたために、帰るに帰れないらしい。医療はタダですが、タクシーはお金がかかりますからね。
病院は「誰か呼べないの?お金がないって、救急車もお金がかかるけど大丈夫だったの?」と言ってました。彼女はガン患者のサポートグループが救急車の費用はみてくれると言っていたのですが、迎えに来てくれるような人はいないっぽいので、どうやって帰るかを病院のスタッフと話すようでした。

…怖すぎる。

海外で一人で暮らすのっていざとなったときに大変なんだな、と思いました。

病気になったのがDGが家にいるときで良かった。

私の結果が最終的に出たのは朝の4時半でした。病院にチェックインしてからちょうど12時間がたった時でした。

結果は盲腸ではなく「大腸憩室症(だいちょうけいしつしょう Diverticulitis)というものでした。抗生物質を10日分出され、後日、ファミリードクターにフォローアップで会うようにと言われて返されました。