庄内地方の稲作は、2年続きの不作に見舞われ、営農指導、栽培技術の見直しを迫られている。結論は土づくりの大切さ、ということに尽きる。
 昨年ある友人に「今年も不作で大変だった~」と声をかけたところ、返事は「いや、俺は11俵とれた」というものでした。冗談かと思ってさらに聞いたところ、近所の畜産農家から堆肥を購入して毎年入れ続けているから当たり前だ、とのこと。頭では分かっていながら、それを実践している人の話をあまり聞いたことがない、ということに気がついた。
 
 全農が発行しているグリーンレポートという技術系の雑誌の4月号に「人が土を守れば、土は人を守る」と題する、土づくりの記事が載っていた。
(抜粋)…「土づくり」という概念は他の国にはなく、「土」に対する日本特有の考え方といわれている。生産力を維持・向上するために「土」が大切であるという思いと、各地に「土の神」があるように「土」に対する威厳と感謝の気持ちがこのような概念を作り上げてきたもので、”農耕文化の遺伝子”が今も受け継がれている…

 そこに15年ほど前の荘内日報の記事のことが書かれていた。
(抜粋)…農民を上農・中農・下農に分けた古い農書の中から、下農は雑草を、中農はイネを、「上農は土をつくる」とする「作人上田」という諺を例に示し、上等の田畑にするためには、土を良くすることが最も重要であるとし、最後に、「土づくりは極めて地味で、手間暇・労力を必要とするため、敬遠されがちであった。基本的な技術は1年手を抜いただけでは現れない。それがいつしか、庄内の米の一部に品質と食味の低下となって表面化してきている…(中略)
 この記事から2~3年後に、高温障害による乳白粒の発生が顕在化今もなお米の品質低下は深刻化している…

 それから15年が経過し、年々地力が低下していることを実感している農家はかなりいると思われる。先人がどのくらい土づくりを大切にしてきたか、過去に学ぶことはまだまだたくさんあることに気づかされた。
 「土づくり資材を投入しよう」と呼びかけると、「その分だけ高く売れるのか」という答が返ってくる現状では、何も前に進まない。
 
 高く売れない→田んぼへ投資できない→痩せた田んぼから良い米は獲れない→高く売れない……この悪循環から抜け出すには、「自分の田んぼへ自分で先行投資する」という意識を持つこと以外には無い。