☆朝起きられないことと血圧の関係 中医学で整理します
よく、
「血圧が低いから、朝起きられない」
という言葉を聞きますね。
完全に、原因と結果を取り違えています。
「毎日肉を食べるから長生き」と同じです。
「コーヒーをたくさん飲むひとは胃がんにならない」も、同じ論理ですね。
これは、中医学的な人体の見方を知ると、カンタンに見抜ける「思考の落とし穴」なんです。
説明します。
まつもとは、長く体調不良でした。
どのくらい不調かというと、朝起きられないほどでした。
まず、幼稚園。
起きられないし、起きてもすぐには動けないので、幼稚園バスに置いていかれそうになります。
くるっと回って、30分後にはまた近くを通るのを知っているので、
「ちょっと遠いけどそっちで拾ってもらえないか」
「いや、そこまで歩くなら大した時間は稼げないか」
などと考えていました。
小学校に上がると、帰宅後だるくて動けないので、部屋がどんどん散らかります。
夏休みや冬休みになって、身体が回復してくると、休み後半、部屋がすっきり掃除されます。
でもまた学期が始まると、すぐ足の踏み場がなくなります。
コーヒーなしでは朝学校へ行けなくなったのは10歳でした。
授業中の居眠りが始まりました。
今なら原因が分かります。
「気」が不足していたんですね。
朝元気に覚醒するための「気」が充分に作れていなかったから、朝起きられなかったんです。
中医学では、日の出とともに「陽」の時間が始まると考えます。
正午へ向けて、どんどん盛んになる外界の「陽」。
それと同じペースで、体内の「陽(気)」も盛んになることができれば、午前から活動できます。
残念ながら、体内の「陽(気)」が弱くて、外界の陽が盛んになるペースと合わないと、意識レベルも低く、活動できません。
いろいろ総合して、「気」を作り出す「脾」と、「陽」を蓄え全身に補給する「腎」が弱かったんだと。
こういう仕事をするようになってから、自分で振り返ると理解できますね。
でも、親には責められたな~。
自分にそういうところがないと、理解できないんですね。
「怠ける」子供だと思われ、とくに厳しく躾けないといけない! と、気合いを入れて叱られてました。
親心は、分かりますね。
さて、今日のテーマ。
「血圧が低いから、朝起きられない」
一見スルーしそうになりますが、これは正しくありません。
まつもとはむか~し病院から、「ちょっと血圧を上げてみましょう」と昇圧剤を出されたことがありますが、全く効果ありませんでした。
「1、血圧が低い」ことが「2、朝起きられない」ことの原因ではないのです。
気が不足していると、朝起きられないし、心臓が元気に血液を送り出すパワーもないので、血圧が上がりません。
つまり、「1、血圧が低い」も「2、朝起きられない」も、どちらも「3、気が不足している」という共通の原因によって起こる訳です。
3の結果として、1も2も出てくるのであって、1をいじっても2は治らない。
「3、気が不足している」を治してこそ、「1、血圧が低い」と「2、朝起きられない」が改善する。
これが実際です。
朝起きられないほど低血圧だったまつもとも、親に知識が少しあれば、「気」を増す漢方薬を使えたでしょう。
叱っても改善しませんが、子供の量ですから、ほんのちょっとの漢方薬を服めば、すぐ改善します。
それから、「気」を作って体内に蓄える「睡眠時間」をキープさせる。
「陽気」が不足の子は、「陰血」に問題なければ、「陰」が盛んになる夜間の方が元気なんです。
だから、「宵っ張りの朝寝坊」となりやすいんですが。
寝るときに寝ないと、悪化する一方なんですね。
これは大人にも言えることです。
毎日肉を食べ続けられるほど胃腸が丈夫だから、長生きするんです。
コーヒーを1日に4杯も5杯も飲めるほど胃が丈夫だから、胃がんにかかる率が低いんです。
肉を食べたら長生きするのでも、コーヒーを飲むから胃がんにかからないのでも、ありません。
ここを間違えないようにしましょうね!