昨日は夕刻から亀有駅前に出た。
秋の日はつるべ落としという。
とっとが3曲を唄ううち、雲の切れ間に浮かんでいた夕陽は、鉄道の高架の下へ沈んだ。
黄昏を過ぎ、空が青紫の残光に彩られる時間を"逢魔が刻"という。
そのとき、とっとが出逢ったのは魔物ではなく、幼い姉妹だった。
とっとの表情は柔らかくなり、心なしか歌声も優しくなったように思えた。
すると、まばらだった人垣が、にわかに膨れあがった。
詰め寄せた聴衆は、演奏を終えるとCD購入の列をつくった。
その頃には残光が消え、すっかり夜空にかわっていた。
幼い姉妹は、いつのまにか立ち去っていったようだ。
残光が輝いた、わずかな時間。
きっと幼い姉妹の心にも、思い出になって残っていることだろう。


