7月20日のことだった。
愛用の黒アンプを修理に出し、代用の黄アンプでの路上ライブ。
代用アンプの出力は15w。ふだん使っているのは50w。
そのせいか、しっかり腹から声を出している。
私の耳には、好調であるように聞こえた。
表情も晴れやかだ。
ただ、いま写真を見直してみると、顔色はよくない。
あとで知ったことだが、とっとは「喉からくる風邪」をひいていた。
熱っぽいのは自覚していたようだが、あえて路上に出たのだ。
後日、本人がブログで心境をあかした。
――弱い自分に負けたくなかった
その意気込みは裏目に出てしまう。
ふだん、とっとは立ったまま休憩時間を過ごす。
休憩とはいっても、演奏しないだけのことで仕事はある。
CDを販売したり、チラシを配ったり、ブログを更新したり、ちっとも"休憩"ではない。
この様子は、居合わせたファンたちに「ただごとではない」と思わせた。
――もう一度唄います
固定ファンたちが打ち切りを進言するのを遮って、とっとは立ち上がる。
その視線の先には、演奏再開を待っている人たちがいた。
ブログで予告したよりも一時間早く切り上げて撤収となった。
帰路は途中まで固定ファンたちが荷物を持ったが、
ファンとアーティストの関係では家まで送るわけにいかない。
所属する事務所からの応援を呼んでもよかったろうに、
最後は一人になって体重に等しいほどの大荷物を運んだという。
本人のブログでも、この出来事についてふれていた。
そのなかで、代表曲である「心の動物園」を思い起こしたといっている。
要約すると「自分の弱さをも認めよう」ということだ。
それは甘えではない。
息長く活動を続けようとする、むしろ厳しい選択ではないだろうか。
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