ポツポツとコードが並んだバインダー。
左頁に手書きの歌詞が挟み込まれている。
とっとは単純な和音を多用する。
だが、「とび箱」には複雑な和音も用いている。
原曲は思春期につくったという。
「こんな難しい曲、いまは書けません」
そういうと、とっとは苦笑した。
技巧は感動を演出する手段であって、
感動を呼び起こす根源ではない。
おそらく写真も同じだろう。
そればかりか、あらゆる芸術に通じることだ。
ほとんど楽譜の体をなしていないが、
そこから奏でられる音には感動がある。
とかく写真家は難解な表現に走りがちだが
はたして好ましい傾向といえるだろうか?
だが、原則論ばかりを追っていても仕方ないのはたしかだ。
どう撮るべきなのか、私にはわからない。
そんな風に深く考えさせられたのだった。
