ピーー…、


『あ…』


高い音と共に携帯の電源が落ちた


真っ暗な画面


何だか寂しくなった


足りない

足りない


充電が
咲人が足りない


充電器、
咲人は何処だろう?


充電
充電


「ひつ、どうしてメール…」

嬉しくて
思わず咲人の胸に飛び込んだ

『咲人!!』


俺の俺だけの充電器

咲人っ

俺を咲人でいっぱいにして!!
辛いことや
悲しいことは

見ないふり
聞かないふり
知らないふり


目を閉じて
耳を塞ぐ


真っ暗の
外音の無い世界


ここだけは
俺だけを見ていた貴方の顔と
俺の名前を呼んでくれた貴方の声を独占できる


だから
お願い


誰も俺の世界を壊さないで


夢なら夢のままでいい

幸せな世界に浸っていたい
覚めたくないの


だから起こさないで

ピ、ピ…


「戒…」


『きぃちゃん、』


「もう、起きねぇかと思った…」


『起きたくなかった…』


覚めることを拒み続けたはずなのに

どうしてかな

夢の中のきぃちゃんだけじゃ足りなかった…


「は?」


『辛いこともあって嬉しいことばっかじゃないけど

でも幸せなんだ』


きぃちゃんと
話すこと
キスすること
ケンカすること
全部ぜんぶ幸せだった


『だから
帰ってきたの』


「遅ぇよばか」
きぃ、きぃ、

ゆっくりこぐ

同じところを
行ったり来たり

きぃ、きぃ、

真夜中の公園で
独り揺れてるぶらんこは

揺れる僕の恋心


なんてね、


『咲人は僕のことが好き?

それとも嫌い?』


花占いのように呟くの


咲人は僕のこと


好き。

きぃ、

嫌い。

きっ…


「好きだよ」


第三者の手で止められたぶらんこ


『さきと?』


「こんな夜中に1人りで何してるの?」


『咲人こそ、』


「ひつの家に行ったら居なくて

探したんだよ?」


『あ、ごめん』


「見つけたと思ったら
好きとか嫌いとか言ってるし」


『うん、』


「不安なの?」


『どうなのかな』


揺れる揺れる恋心

貴方を好きな気持ちに変わりはないのにね

どうしようもなく不安になるの


「不安になんてならないで

俺が好きなのは愛してるのは柩だけだから」


『うん、俺も』


揺れる揺れるぶらんこと恋心


ぶらんこが止まれば
不安な心すら止まってくれればいいのに

「ひつ、」


『もう大丈夫』


「そっか、」


『帰ろ?』


きぃ、
きぃ…


僕の中のぶらんこは
もう少しだけ
揺れてそうだ
話声
笑い声

気づかない間に耳をかたむける

入りたくても
入れない世界

2人だけの世界


優しい声で呼ばれる名前も
柔らかい笑顔を向けられるのも

全部ぜんぶ
葵君だけ


『いいなぁ…』


「何が?」


声出ちゃってたのか…


『俺も葵って名前がよかった…』


俺が葵って名前だったら
麗に優しく名前を呼んでもらえるのに

俺が葵って名前だったら
麗にあの笑顔を向けてもらえるのに…

でも
俺の名前は戒だった

もし葵君の名前が戒で
俺の名前が葵だったら
麗は俺を選んでくれた…?


「じゃあ俺は麗って名前がよかったべ」


『…え?』


「れいちゃん葵君が好きだったの?」


葵君はたくさんの人に愛されてるね

俺は醜い嫉妬ばかり


「違ぇよ、
麗だったらお前は俺を見てくれるんだろ?」


『れ、いちゃん…』


もしれいちゃんが麗って名前だったら…

俺は麗を好きになった?

ううん、
きっと俺はれいたを好きになってた


『あ…』


じゃあ
麗も、いくら俺の名前が葵になったところで
俺を好きになるわけなんてないじゃん…


『馬鹿だね、俺』


「まぁな」


『届かないって
辛いね』


「あぁ、」


俺もお前も
こんなに近くにいるのに

目指すものだけ近くて
届かないん



ただ

欲しいものは
名前じゃなくて


貴方のこころ
くだらないことを言ってみよう


「ずっと思ってたんだけど…」

「何だよ」

「どないしたんや戒君?」

「悩みごとならお兄さんに言うてごらん?」

「恋の相談だべ?

俺はいつでも戒君を受けいr」

「んー…
LEECHのきぃちゃん、焼きそばだよね??」


「「「ぶっっ」」」

「はぁ?」

「髪が縮れ麺で…」

「茶色いからソース焼きそばやな!!」

「塩もうまい」

「誰か青海苔持ってこーいww」

「うぜぇ
お前ら無駄にうぜぇ!!」

「ご、ごめん」

「いや戒君じゃなくて」

「あら嫌だわ贔屓かしら」

「最近の若いもんは」

「そんな子に育てた覚えはないべ」

「最近のって年かわらねぇだろ!!

お前に育てて貰った覚えはねぇよ!!

あと
贔屓は否定しねぇ!!」

「贔屓は認めるのか」

「そんな怒ったら麺が伸びるで」

「おいしくないぞ」

「うるせぇ!!」

「もう、
皆仲良しなんだから(*´∀`*)」