危険なフルート奏法 | PlatinumClubⅡ

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森圭吾の音楽人生「Platinum Club」の復活版

毎年この時期になると話題になるのがフルートの構えかた。
ブラス関係に携わるとどうしても出くわしてしまう、フルートアゲアゲ問題。
ブラスで言うところの、やる気!を見せるために、地面と水平に、もしくはそれ以上に上に持ち上げる。
どんなに口を酸っぱくして申し上げても、このアゲアゲ族は減らない。
世界の何処を見回しても、フルート奏者という職業に就いた人にフルートを真横に構える人はいません。
むしろ縦笛に近いほど、下げて唇の左半分側にアンブッシャの穴を開けて吹いている人が大半なのです。真ん中すら少数派です。
もしフルートを水平に構えると、唇に開ける穴が中央から右に寄ってきます。
やる気を見せれば見せるほど楽器が高く上がり、右側に穴を作らないと音が出なくなりますから、必然的にそうなるわけです。
以前は唇の右側でフルートを吹く人はほとんどいませんでした。
ところが近年、物凄い確率で出会うようになりました。
もし、自分がそうだと思った人は、とにかく穴の位置を真ん中、もしくは左側に修正する努力をしましょう。
フルートは斜めに下げて吹いてみてください。
今までの力みがスーッと抜けて、楽になります。
しかし、唇の右側半分に穴の空いた人はフルートを下げることが出来ません。顔を相当右前方向に傾けない限り難しいと思います。
これは正直しんどいです。

これまでフルートを吹いてきて思うのですが、
人間の指向性は正面ではなく、斜め45度左前方へ向けてあると思うのです。
楽器に限らず、武道やスポーツ選手などの動きを観察してみて下さい。
何故か攻撃の方向性は斜め前ということが分かりますね。



フルートの神、マルセル・モイーズも言っています。「フルートの音の出ていく方向は何故か左斜め前だ。理由はわからないが、世界中のフルート奏者がそうであることがその理由だ」


日本語には「斜に構える」と言う言葉があります。
剣道などで、守りの姿勢を取ることを表し、あまり積極性がないことを表した表現です。
しかし本来は、物事に対して正面からぶつからず、楽な姿勢で挑むという意味のようです。
 守りの姿勢、すなわち力を抜き、どんな攻撃からも出来るだけ素早く対応出来る姿勢を取ることが求められるのです。
この斜に構えることこそ、脱力し、速い指の動きに対応出来、自分の音に耳を傾けることが出来る唯一の方法です。

ブラス指導者の皆さん!
どうか、フルートパートの生徒さんにこのブログを見せて、間違った奏法をさせないようご指導下さい。楽器を高く上げると、フルートが本来持つ音色くにたどり着けないどころか、腱鞘炎や酷い肩こりなども誘発する恐れがあります。もし、彼らの中から一人でも音楽を目指す人が現れてもその時は修正に膨大な時間と努力を費やすことになります。
この間違いを修正する少しの勇気が子供たちを救います。
もし、このブログを見られたら、お知り合いのブラス関係者、フルート指導者にお教え頂いて、日本中の若いフルート奏者達が間違った奏法に陥らないためにも、正しい知識をお持ち頂きたいと願うばかりです。