ヒースロー空港に到着した僕は、妙に納得していました。
『格安の航空券には、格安の理由があるんだなあ』
到着時間は午前0時。
荷物受取所で受け取る荷物もない僕は、出口に向かう人の流れを無視して立ち尽くしていました。
午前0時に到着することも知らず、ホテルの予約もしないで、ロシアの飛行機に乗り込んだ自分の無計画さを呆れていました。
空港で一晩過ごすしかないなあ、とあきらめて空港内を眺めていると『同じ飛行機でしたよね』と声をかけられました。
振り返ると眼鏡をかけた僕より少し年上の男性が、僕より不安そうな顔で立っていました。
『一緒にロンドン市街まで行きませんか?』
『いいですけど、僕には泊まる宿がないんです』
『ホテルは予約してあるので、一緒に泊まりましょう!』
僕を救ってくれた神様の名前は河井田君。
河井田君と僕は両替して、地下鉄に乗り、予約してあるホテルの駅で降り、歩き始めました。
公園の脇を通り過ぎようとすると、奇妙な叫び声。火の着いたタバコも飛んでくる。
真夜中のロンドンをおびえながら、地図片手に歩く二人の日本人は迷いながらも目指すホテルに無事到着。
シングルルームに男二人。
ホテルの受付係の怪しい視線を無視しながらチェックイン。
2枚あった毛布の1枚を譲ってもらい、当然河井田君はベッド、僕は床で眠りにつきました。
翌日のロンドンは快晴でした。