こちらは、高尾山薬王院の天狗の面。貫禄があります。
高尾山と大雄山
今年、天狗伝説で有名な2つの山に行きました。
一つは、高尾山。
もう一つは、子供の頃から毎年お参りしている大雄山最乗寺です。
2つの山の天狗の像を眺めていたら、昔、父がこんなことを話していたのを思い出しました。
「『大雄山と高尾山、どっちの天狗がすごいのか』って話題になったことがあったんだけど、兄貴が怒ってさぁ。
『そんなの大雄山に決まってるだろ!』って」
その話を聞いた時は、「そんなくだらないことで怒るだなんて!笑」って大笑いしたのですが、ふと思ったんです。
…外科医で温厚だった伯父が、本当に天狗の存在を信じていたんだろうか。
そして、何故、そんなに怒ったんだろうか、って。
疎開先のよりどころ
父は、本所菊川(現在の墨田区)の生まれ。
生粋の江戸っ子なので、「ひ」と「し」の発音がうまくできません。
第二次世界大戦の時、戦火が厳しくなった下町を離れ、現在住んでいる東京町田市に疎開してきました。
父は7人兄弟の下から2番目。
7人も子供がいるってそれだけで大変そうですが、戦争で亡くなった祖父の弟の5人の子供たちも祖父が引き取って育てていたそうですから、総勢12人の子供がいたことになります。
疎開先での生活は、想像を絶する大変さだったのではないでしょうか。
実際、伯母が
「若い頃の祖父は、本当に休みなく働いていて、申し訳なくなるほどだった」
と話していたから、食べ盛りの子供たちを養うだけで精一杯だったのかもしれません。
祖母は新潟の出身で、実家がお寺だったのだそうです。
とても信心深い人だったので、疎開先でも心のよりどころが欲しかったのでしょうか。
「この辺で、一番のお寺はどこですか」
と疎開先の人に尋ねたら
「大雄山最乗寺だ」
と言われたのだとか。
それがきっかけで、曽祖父の分骨をして供養してもらい、毎年、大雄山にお参りするようになったのだそうです。
私の大好きな苔の生えた杉@大雄山。
これを触らないと、なんだかお参りに来た気がしません。笑
祖母は、いつも神棚の道了様(大雄山最乗寺の守護神)に向かって手を合わせていましたから、それを見てきた子供たちも自然と道了様を信仰していたのかもしれません。
ちなみに、曽祖父や祖父母の墓があるお寺は別で、実家の近くにあります。
戦後、住職が不在になっていた寺に、祖父がどこからかお坊さんを探してきて檀家になったのだと聞いています。
毎日、手を合わせる存在があったり、亡くなった家族を供養してもらう場所が、今よりももっと大事な時代だったのかな、と感じます。
道了様と天狗伝説
祖母が信仰していた道了様って、一体、どんな神様なのでしょうか。
道了様は、大雄山最乗寺を開創する際、開祖である了庵禅師を慕って、空を飛んでやってきた尊者(修験道の満位の行者)だそうです。
空を飛べたんだ…ここで軽く驚愕。笑
大和の金峰山、奈良大峰山、熊野三山などで修行を積んだ霊験の多い尊者で、500人力で土木作業をしたので、たった1年で寺を開くことができたのだとか。
ずっと了庵禅師を支えていましたが、禅師が75歳で亡くなると、その翌日に
「私の役目は終わった。これからは寺を守る」
と言って、天狗に変身し飛び去っていったのだとか。
霊験あらたかな道了様は、十一面観世音菩薩の化身とも言われ、天狗姿の道了様が信仰の対象になったようです。
祖父母の家の神棚にあったのと同じ道了様のお姿絵が我が家にもありますが、確かに口元が鳥の嘴。
羽はないけれど、烏天狗の姿です。
これが噂の御姿絵。
背中に火炎を背負い、白い狐に乗り、右手には悪人を倒す杖を、左手には悪人を縛る縄を持ち、両手両足には幸せの使いといわれる蛇を従えて、五大願を唱えながら飛び去ったそうです。
祖母も伯父も天狗の存在を信じていたのは間違いなさそうですね。
…そういえば、昔、両親と大雄山にお参りに行く日に、天狗の夢を見たことがありました。
大雄山の鬱蒼とした杉林を見上げると、頭上に黒い影が飛び交っています。
「あっ!天狗だ!」
夢の中、私以外には誰もいなくて、とても怖くなりました。
父に夢の話をしたら「それは良い夢を見た!」と言って喜んでいましたから、父も私も潜在的には天狗を信じているのかもしれませんね。笑
高尾山と天狗
高尾山の天狗はどうなのでしょうか。
高尾山薬王院有喜寺は、1278年前の天平16年(744年・奈良時代)に開山されたそうです。
一方、大雄山最乗寺が今から600年以上前の應永元年(1394年・室町時代)に開山されたので、高尾山の方が圧倒的に歴史が古いですね。
高尾山は、日本最高峰の霊山である富士山からの気が流れる龍脈上にあると言われ、古くから霊山として信仰されていたようです。
聖武天皇の勅令により、東国鎮守の祈願寺として開山されたとのこと。
へぇ、随分、由緒あるお寺なんだなぁ〜!と感心していたら、ビックリするような歴史が!
なんと、元々は薬師如来をご本尊としていたものの、1375年に俊源という人が入山し、八千枚の護摩供養秘法の後に飯綱大権現(いづなだいごんげん)を祀り、中興したというのだそうです。
なんとご本尊が薬師如来から飯綱大権現に代わったのですから…なんかわからんけど、秘法ってすごい!!!笑
そして、薬師如来には同情しかありません。
せっかく祀られていたのに、神様も世の中の流行り廃りには抗えないのですね。
飯綱大権現というのは長野県の飯綱山(戸隠山の一部)発祥とされる烏天狗の姿の神様だそうです。
ここで、烏天狗が登場〜!わぁい♪笑
えっ!?これ、もはや道了様じゃね!!?笑
飯綱大権現は、戦勝の神として武将達に信仰されてきたのだそうです。
高尾山が中興した1375年から大雄山最乗寺が開山した1394年くらいは、天狗ブームだったのかもしれませんね。
実際、この後に戦国時代へと突入していきますから、世相を反映した信仰だったのでしょう。
そして、飯綱大権現をご本尊に迎えた高尾山は、山伏たちの修行の場である修験山へと様変わりします。
山伏は厳しい修行を重ねることで、山の霊気と融合し、常人にはない力を持つそうです。
こういった山伏の姿が天狗と同一視されることもあったのだとか。
大雄山の歴史で、道了様が空を飛んでやって来たと聞いた時はびっくりしましたが、当時の人々にとって、山伏が空を飛ぶのは当たり前だったに違いありません。
…私も空飛びたいなぁ。笑
どっちの天狗がすごいのか
神様に対して不遜ではありますが、ここは敢えて、どっちの天狗がすごいのか、考えてみたいと思います。
調べてみると、高尾山のご本尊である飯綱大権現は
「日本第三の天狗なり」
と名乗り、現れたことがあるそうです。
…えっ!?なんかすごい!笑
でも、第三ってことは第一と第二がいるわけですよね?
そう思って、ネットでざっと調べてみたのですが、全く序列が分かりませんでした。
有名な鞍馬天狗が上位に入っていそうだな、と考えていたのですが、富士山や比叡山、筑波山や愛宕山にも天狗がいるそうで、こうなってくると順番なんて想像もつきません。
まぁ、そこは天狗界の序列。
人には分からなくて当然でしょう。
うーむ。困ったぞ!
続いては、数で勝負!笑
大雄山最乗寺には、たくさんの天狗の像はあるのですが、天狗の姿を確認されているのは道了様だけ。
一方、高尾山はというと、飯綱大権現の眷属が天狗だそうですから、たくさん居そうですよね。
数で勝負したら、高尾山が圧勝しそうです。
続いて、神様のルーツを比較してみましょう。
飯綱大権現はそもそも長野県の飯綱山の山神様。
道了様は、十一面観世音菩薩の化身と言われます。
土着の山神様とヒンドゥー教に起源をもつ観音菩薩との戦い…
うゎぁ。まさかの国際問題!?
穏便に共生して頂きたいので、戦いは避けたいところです…
どうやら、軍配を上げるわけにはいかなそうです。笑
それぞれの山を登り、お寺を巡って、みなさんの目で判断してもらえたら嬉しいです♪笑
天狗を信仰する気持ち
天狗は、そもそも古くから日本にあった山岳信仰と、中国神話やインド神話、空海が持ち込んだ密教などと融合して生まれた存在のようです。
妖怪として恐れられることもあれば、神様として崇められることもある、というのは、なんとも東洋的で面白いですね。
祖父母から始まった恒例のお参りは、私にも引き継がれ、なんとなーく毎年、大雄山にお参りに行っています。
お参りに行かないと、居心地の悪いような、気持ちの悪いような感じがするのです。
信仰しているというわけではないのですが、私にとっても、いつの間にか心の拠り所になっているのかもしれません。笑
こうして思いを馳せるうち、伯父が
「大雄山の天狗の方がすごいに決まってる!」
と怒った気持ちが分かるようになってきました。
こちらは大雄山の参道
日本各地に、信仰の対象になった山があります。
みなさんの地元や旅行先で山を訪れる機会があったら、頭上を見上げてみてはいかがでしょうか。
もしかしたら、黒い影がさっと横切るところを見られるかもしれません。
Let's be Happier
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【 お申し込み方法 】
お申し込みフォームからお願いいたします。
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