セミは、もっと小さな昆虫、ウンカなどの仲間です。
ツマグロヨコバイは、危険を感じると葉の裏に隠れます。
鮮やかな黄色い羽の先端が、その名の通り黒く、庭仕事をされる方なら、ご覧になったことがあると存じます。
この5mmそこそこの虫を、良く観ると、セミにそっくりだと気づきます。
ウンカなどの仲間ならば、これが本来の大きさです。
セミの祖先は、「成虫になったら、オスは恋の歌を、大きな声で思い切り歌い、メスはその歌を聴ききながら、恋愛し、命を謳歌したい!」と熱望したのだと考えています。
大きな声で鳴くためには、ある程度大きな体を、楽器のように使う必要がありますから、セミの祖先は小さな体を大きくするために、地中にもぐり、ゆっくり時間をかけて体を育もうとしました。
個体として知能はなくても、どんな生きものにも、種としての意思があり、それが進化の原動力だと思うのです。
人は1人ひとりが、違った人生を歩みます。そうした私たちの運命を決定している何かが、他の生きものでいう、種としての意思にあたるのではないか?と推測しています。
今メスの心を掴もうと、精一杯鳴いているセミが、種としての意思を知っているかは分かりませんが、毎年蝉時雨を聴き、そのひたむきな成虫としての短い命の輝きに、思いを馳せるとき、私も、こうした天命にそった毎日をすごさねば、と決意をあらたにするのです。