今日は午後から、呼吸器内科外来で、今後の治療計画について説明があった。
担当医はT医師。
薬剤師としてキャリアをスタートさせたものの、医療に直接関わりたいと、医学部に入り直して医者になった人だ。
以前、仕事で取材をさせていただいたことがあり、先生も何となく覚えていてくださった。
T医師の説明は、本当に丁寧で、そして慎重で、とても分かりやすかった。一項目説明するたび、必ず立ち止まり、
「ここまで大丈夫ですか?分からないことがあれば、何度でも説明しますね。」
こちらの目を見てそう言ってくださることで、本当に安心できた。
きっと、患者にもいろんな人がいる。中には、助けてほしいという思いが強く出過ぎてしまい、医師や看護師などに、必要以上に強く当たってしまう人もいるんだろう。この先俺自身がそうならない保証もない。
そんな中で、粘り強く、そして親切に、現状を説明しようと努める医療従事者の苦労に、少し申し訳ない気持ちになった。
T先生の説明によれば、肺がんには大きく分けて2種類があるとのことだ。
一つは小細胞肺がんで、肺がん全体の概ね20%。
そして残りの80%が、非小細胞肺がん。
ただ、この非小細胞肺がんの中で、細かくタイプが分かれる。
内訳は、最も多いのが腺がんで、60%。
次いで扁平上皮がんで30%。
大細胞がんが5%。
それら以外が5%。
で、俺のがんなのだが、大細胞がんの中の神経内分泌がん=LCNEC(エルシーネック)なのだと、説明があった。
これは、極めて症例の少ない珍しいがんらしい(マジで宝くじ当たるんじゃね?)。
そして病期は、原発である肺から離れた頸部リンパ節への転移があるので、4期。
と聞くと、ええ?末期なの?
と思ってしまいがちなのだが、先生の解説によれば、4期は、かなり幅が広いとのこと。転移が一か所でも、体中あちこちでも、一括りに4期とされるらしい。だから同じ4期でも、患者の状態は全く異なるのだそうだ。
俺の場合、転移は頸部リンパ節のみ。昨日の頭部MRI検査の結果、脳転移はなかったとのことだ。正直なところ、そう聞かされて、俺自身が一番胸を撫で下ろした。
ただ、原発を叩けば治る病期ではなく、根治は望めないらしい。つまり、長く付き合っていくがんということだ。
それなりに、覚悟の必要な状態ではあるみたいだ。
さて、俺の肺がんだけれど、大細胞肺がんの一種ではあるが、治療は小細胞肺がんに準じて行われるらしい。この辺りの理由としては、大細胞肺がんでありながら、小細胞肺がんによく似た性質を持つかららしい。
「これ以上病気が進まないように。そして、症状が出てこないように。そこを目標に治療していきます。」
治療目標について、T医師がそう言ってくれたことに、随分と勇気づけられた気がする。
この先生を信じて、お任せしよう。
素直にそう思えたし、そうして良いだろうなと思った。
さて、治療は4月1日から始まる。
少し前までの計画では、この日ウラジオストクへ飛ぶ予定だったのだが、行き先はロシア沿海州ではなく、病院のベッドだ。