名著として誉れ高い「場の古典論 」,(著 ランダウ、リフシッツ) p11によれば、4次元空間の6つの平面xy, yz, zx, tx, ty, tz における回転は、前3つの場合普通の回転であり、後者3つの回転は、特にtx 平面における回転を考えると、原点からの点(ct , x)までの距離が等しいという条件から、
距離 -(ct)^2 + x^2 を普遍に保たなければならない。よってこの変換により、回転における新旧両座標の間の関係は回転角をψとすると、Landau によればいきなり以下のようなローレンツ(Lorentz)変換の関係で結ばれる。すなわち
x = x ' coshψ + ct 'sinhψ , ct = x ' sinhψ + ct 'coshψ
と表すことが出来る。この時、Landau によれば計量の保存式 (ct)^2 - x^2 =(ct ')^2 - x '^2 が成立することは自明である、とある。
Landau があまりにも天才であるため私には、tx平面での回転がLorentz変換になることが自明には思えない。
凡人の考える、ここに至るまでの道は、まずy座標に虚数 i を掛けたiy軸を考え、これを時間軸 t に対応させる(iy ⇔ t)。すると、空間原点から点(x, iy)までの距離は-y^2 + x^2となり、tx平面での回転半径 -t^2 + x^2に類似する。ただし光速c = 1と置いた。
上記が物語ることは、Landauが言う普通の回転、すなわちxy平面における回転変換と、時間軸 t と空間軸 x からなる平面 tx における回転すなわちLorentz変換の相違は、xy平面における普通の回転変換での空間座標 y を、座標軸y に虚数単位 i を掛けたi yに置き換えることである。
これはLorentz変換を定義するミンコフスキー空間から、普通の回転を定義するユークリッド空間への解析接続に相当する。
具体的に、
t → - iτ のようにユークリッド空間での時間を表す4番目の座標τを回転子 i = exp (i *π/2)により複素平面上(1,0)をπ/2だけ回転して
(0, i )に持っていったことに相当する。すなわち、これはミンコフスキー空間からユークリッド空間の点への解析接続に相当する。
物理学でいう特殊相対性理論が定義されるミンコフスキー空間は、数学の言葉を借りるとLorentz変換が定義されるミンコフスキー空間から普通の回転変換が定義されるユークリッド空間への解析接続により定義されることになる。
なお、このミンコフスキー空間からユークリッド空間への解析接続は物理学者のWick(ウィック)の名に因んで、Wick ローテーションと呼ばれている。
上記の話をもっと具体的に砕くと、空間座標y を i y に置き換えることに相当するので、三角関数cos (y) = (e^(iy) + e^(-iy)) /2
において、y をiyに置き換えることで、複素平面上、双曲線関数cosh(y) = (e^y + e^(-y)) /2
に解析接続されることに相当するかと考えられる。
Landauを久しぶりに読み返しているのですが、やはり非常に難しいです。現象の背後にあることを見透かして語られているような気がしています。それにしても、tx平面での回転が、Lorentz変換すなわち双曲線関数で表されることは不思議というか、奥深さを感じざるをえません。