久しぶりに数学記事を。。。
常微分方程式の解法は大学教養部レベルで学ぶ数学ですが、ほとんどの学部では演算子法(ラプラス変換法)による解法をざっくり半年かけず学ぶのみだと思われます。今から述べる解法はまどろっこしくてマニアックかも知れませんが、解の形の予測がつけ易く、アルゴリズムとして数値計算向けで物理学やシステム情報工学の分野では重宝される解法だと思います。
ここで、簡単のため自然界でよく現れる2階線形微分方程式の解法について述べる。以下の話はn 階線形微分方程式にも単純に一般化できる。
方程式は、一般に
(1) x’’(t) + bx’(t) +cx(t) = Fsin(t)
とおける。肩記号 ’はt による一階微分を表し、x(t)はt で何回も微分可能とする。
ここで(右辺)=0と置いた式を斉次(せいじ)方程式という。
まず、次の斉次方程式の一般解を求める。
(2) x’’(t) + bx’(t) +cx(t) = 0 に置いて
x’(t) = y(t) と置くと、(2)は2元方程式
(3) x’(t) = +y(t)
(4) y’(t) = -cx(t) -by(t)
となる。
上の2式の解x(t)、y(t)を大文字XでベクトルX(t) = (x(t),y(t))「として表す。ただし「はベクトルの転置。すると(3),(4)は
(5) X’(t) = AX(t)
ただしAは(3),(4)の右辺の係数行列。
(5)を変数分離して解くと、解は
(6) X(t) = exp(At)X(0)
となる。次にexp(At)の具体な形を求めるため
(7) X(t) = E0 + E1t + E2t^2 + E3t^3 + .........+ Ent^n + ..........
と置き、係数ベクトルE0,E1,E2,,,,,,を求めていく。まず上式でt = 0 と置くと
X(0) = E0
さらに(7)をtで微分して、 t = 0と置くと
X’(0) = E1
ここで(5)より、t = 0のときは
X’(0) = AX(0)
故に
(8) E1 = AX(0)
次にE2を求めるため、(7)の両辺をtで2回微分して、t = 0と置くと
X’’(0) = 2E2
また(5)をtで2回微分して、t = 0 と置くと
X’’(0) = AX’(0) = A(AX(0))
故に
E2 = (A^2/2!)X(0)
以上を繰り返して、E3,E4,.....En...を求めていくと、(7)のX(t)が求まって
(9) X(t) = ( I + At + (A^2/2!)t^2 +(A^3/3!)t^3 + ,,,,,,,,,,)X(0)
よって(6)と(9)を比較して
(10) exp(At) = I + At + (A^2/2!)t^2 +(A^3/3!)t^3 + ,,,,,,,,,,
となる。ただし、I は単位行列。exp(At)のようにe の肩に行列A の乗った時間t の行列関数のことを基本行列(fundamental matrix)という。よって初期値ベクトルX(0)が与えられた上で、基本行列を具体的に計算していくことで解X(t) = exp(At)X(0) が求められる。■
次回、強制系(微分方程式の右辺が0ではない)の一般解を導出したいと思います。