古着を扱っていると、
「これは本物なのか?ブートなのか?」と
悩む1枚に出会うことがあります。
今回紹介するのは、
そんな"考察しがいのある"Santa CruzのTシャツです。
今回の個体確認できたディテールはこちら。
- Santa Cruz専用織タグ
- MADE IN U.S.A.
- RN76579表記
- 両面プリント
- コピーライト表記なし
- 裾ダブルステッチ
- ブラウンボディ
最初に見た時、正直少し悩みました。
なぜなら、
コピーライト表記が無い。
ヴィンテージスケートTシャツを
集めている方なら分かると思いますが、
コピーライトの有無は真贋を考える際の
判断材料の一つです。
- そのため、
「もしかしてブートでは?」
という疑問が頭をよぎりました。
しかし、ブートと断定できる要素も見当たらない
よくある90年代のブートTシャツには、
- タグが安価な汎用品
- プリントが粗い
- 色数を減らしている
- 版ズレがある
といった特徴があります。
ところが今回の個体は違いました。
バックプリントの炎のグラデーション。
星条旗部分の色分け。

フロントプリントの細かな表現。
どれも非常に丁寧です。

また、フロントとバックで色味やインクの雰囲気に違和感もありません。
むしろ当時の量産品としてかなり完成度が高い印象です。
タグを見ていて気付いたこと
洗濯タグを見ると、
RN76579という番号が入っています。
ここで気になったので調べてみました。
調査したところ、
RN76579はNHS, Inc.の登録番号
であることが確認できました。
NHSといえば、
- Santa Cruz
- Independent
- Creature
- Road Rider
などを展開する、スケートカルチャーを代表する企業です。
つまり今回の個体に付いているRN番号は、
Santa Cruzの親会社であるNHSに繋がる番号
ということになります。
ここで考察
もちろんRN番号だけで100%本物と断定はできません。
しかし、
仮にブートだとすると、
- Santa Cruz専用タグを作る
- NHSのRN番号を入れる
- USA製で生産する
- 高品質な両面プリントを行う
必要があります。
それはかなり不自然です。
少なくとも、
街角で適当に作られた海賊版とは考えにくい。
そう感じました。
なぜコピーライトが無いのか?
ここからは推測です
考えられるのは、
① コピーライトを入れないラインだった
90年代のスケートブランドには、
コピーライト表記の無い個体も存在します。
特にレギュラーラインや
販促向けアイテムでは珍しくありません。
② デザインの違い
今回のデザインは、
スクリーミングハンドや
クラシックドットのような代表作ではなく、
ホットロッドやドラッグレース文化の影響を
感じるグラフィックです。
当時のスケートカルチャーは、
スケート
↓
サーフ
↓
ホットロッド
が密接に繋がっていました。
そのため、こうしたデザイン展開は
時代背景としても自然です。
さらに面白いこと
同じタグで、
Jason Jesseeモデルの存在も確認しています
もし単なるブートメーカーなら、
人気デザインだけを作る方が効率的です。
ところが実際には、
複数のデザイン展開が確認できる。
これは単発のコピー品ではなく、
ある程度体系立った製品展開
が行われていた可能性を示しています。
私なりの結論
現時点で確認できる情報から判断すると、
この個体は
「90年代後半〜00年代初頭頃のNHS流通オフィシャル個体」
である可能性が高いと考えています。
少なくとも、
「コピーライトが無いからブート」
という単純な話ではなさそうです。
ヴィンテージの面白さ
古着の世界は、
資料に載っている有名モデルだけではありません。
むしろ面白いのは、
今回のような
"情報が少なく、調べるほど新しい発見が出てくる個体"
だったりします。
だから古着はやめられない。
タグを眺めて、
縫製を見て、
年代を推理する。
そんな時間も含めてヴィンテージの魅力だと思います。
Vintage Clothing SeedS
「有名な1枚だけでなく、資料の少ない面白い1枚も追いかける。」
そんな古着屋を目指しています。 🌱🛹
