先日も書いたようにクレディースイスの株はあっという間に半分になってしまいました。凡そ今の株価でUBSの株が割り当てられるのですが、まあ、世界中の株主は怒り心頭でしょうね。資本家はお金に働いてもらう筈ですが、お金を動かしているのは人間なので、労働者が資本家を出し抜いたという意味では不謹慎ではありますが自虐もこめて滑稽な話です。
サウジナショナルバンクから追加出資をしないという報道があった時、その会長さんがとても辛口の評価をクレディースイスに対して行いました。その後、クレディースイスは坂を転げ落ちるようにあっと言う間に当局の介入でUBSとの買収案がまとまってしまいました。出資している側がその相手先を最悪のタイミングで貶すとは!?と何等かの深謀遠慮でもあるのかと訝しく思っていましたが、実際には単なる腹立たしさを吐露しただけで、結果として想定以上に大損を被る勝手な愚行だったようです。会長さんは辞任しましたが、自身の発言がこのような結果を招く可能性を考えなかったのでしょうか。。。恐らくおぼっちゃまですね。
実は僕は大学を卒業時、ニューヨークの投資銀行で働く予定でした。結局は家の事情で日本に帰国しなければならなくなり断念したのですが、もし投資銀行で働いていたらどんな人生になっていたのかな、と思います。数学科の先輩は20代で報酬が1億円に到達していました。投資銀行は他人のお金でリスクを最大限取って成功報酬を奪い取るのがビジネスモデルです。リスクを利己的にバランスよくとりながら、賢く動けば、転職を繰り返して他人のお金で自分の報酬を理不尽なほどに上げていくことができ、倫理観のようなものは後回しにして資産形成をすることも可能だったろうと思います。クレディースイスも色々な不正がニュースにあがってきましたが、金融の世界って、多かれ少なかれ、そういう不正がものづくりの業界よりも多いと言われています。なので、金融の世界で長くやっていける人は他人と自分を比べたりせずに精神的に安定している必要があると思うのです。
上のサウジの会長さんは正直な人でしょうが、銀行に搾取されたカモでしょう。このようなひどい話は海外だけの話ではありませんね。日本ではJOLEDが民事再生手続きを開始したニュースが出ましたが、中国のTCLから300億円の出資をとりつけたり、デンソーからも300億円の出資をとりつけていました。勿論、産業革新機構からも税金が使われていますから、まあひどい話です。日本が誇るものづくりの世界でも金融は容赦なく介在します。そしてそこにはある種のうさん臭さが漂っています。ディスプレイ技術は海外に流出し、日本では既に稼ぐ力や開発する資力が乏しい時代が長く続きました。ですから、世界で勝てる勝負ではなかったでしょう。マスコミは日本の会社に技術力があると書く風潮がありますが、実際にはハードの技術は多くの場合に他国にいずれ追い付かれてしまいます(だからアメリカは中国に容赦がないのです) しかし、資金が潤沢にある会社等の経営陣はいとも簡単に将来性を見誤ってお金を投入したわけです。今はJDIがJOELDの技術者たちを支援するような恰好ですが、赤字続きのJDIが人様のお世話をするとはどういうことなのでしょう。まあ、JDIでは結構な技術者が流出していますから人が欲しいというのはあるかも知れませんが。真面目に働いている方には気の毒ですが、JDIにも将来はありません。仏陀のエピソードがあります。凡その話はこうです。矢が飛んできて出血がひどい時に、近隣の村から助けを呼ぶか、飛んできた矢のスピードや距離についてあれこれ考えるか。先ずは助けを呼ばなければ、答えのないことを考えている間に死んでしまうと。日本では石の上にも3年という美徳がありますが、その気持ちが強すぎると勝てる見込みのないところで取り返しのつかない状況を迎えることもあるのです。我々は自ら学び、失敗も経験しながら考え、判断をしていかなければ自分や大切な家族を守れないということを肝に銘じるべきですね。美しい響きのある言葉で思考停止になってはならないと思います。
会社の経営陣はこれまでの収入や有限責任という塀の内側でリスクを賢くバランスさせて嵐が過ぎるのを待つことでゴルフ三昧の生活が待っているのかも知れません。これは悪い意味での投資銀行のビジネスモデルと同じなのです。一般従業員、株主、納税者たちが優しい日本では経営者が育たないのではないかと思える今日この頃です。