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MEZCAL メスカル Vamos! Mezcal

麻布十番Bar SPICULEのTETSUです!近年「本国メキシコ」や「欧米」でのブームを皮切りに今後世界的な人気が予想されるメキシコ産の蒸留酒を紹介するブログです。そのミステリアスで数百年続く伝統的な製造方法や香りや味わいの素晴らしさ♪MEZCAL・メスカルの世界にようこそ♬

いよいよ発酵の工程に!

Taona(タオナ)やMazo(マソ)ですり潰したバガス(アガヴェ繊維)と

絞ったジュース、それと同量の水を加えたモノを発酵槽に入れます。

その多くが木製の発酵桶で松材がよく使われています。

地域によっては、石で作られた桶という場合もあります。

最もレアで古い習慣と伝統を重視するパレンケ(蒸留所)では

大型動物のなめした皮を器状にして発酵させます。

現在では殆ど使用されていないのですが、独特の風味の仕上がりになります!

上の写真は6月に数件のパレンケを見学させて頂いた際に

発酵桶に入れて約5時間という状態の桶を見ることが出来ました♪

「プクプク」と泡をたてて発酵していました。

舐めてみると・・・甘いんです!薄めのアガヴェ・シロップのような感じでした。

メスカルの発酵は、その場所に漂っている天然の酵母による発酵のみなのです!!

人工酵母や発酵促進剤などなど、一切の添加物を使いません。

季節や気温などの要素によって発酵に費やす日数も様々で、

全てはマエストロの判断なのです。

このような自然発酵なので7日前後かかります。

メスカルの生産にとって味わいや風味を左右する重要な工程といえます。

前回、何故?時間のかかる非効率なタオナやマソで

すり潰さなくてはならないか?というお話をしました。

この発酵過程で微生物が繊維の中の糖にアクセスし易くさせる為に

あのような方法をとっているのであります。

 

この大きな石臼!TAONA(タオナ)という回転式の石臼です。

パレンケ(メスカル蒸留所)により大きさは異なるのですが

私が見た中で最大でした!

私の身長は181cmあります。比べてみてください。

回転する部分は2トンあるのだそうです!

このタオナは、大きな牛2頭で回します。

砕く、すり潰すという作業でジュースを取り出します。

一回の工程で約8時間くらい掛かります。

なぜ、こんな面倒で時間のかかる方法をとるの?

それはメスカルを造るにあたり、とても重要な要素なのです。

Maquina(マキナ)と呼ばれるシュレッダーなどの機械を使うと

焼きあがったピニャを引き裂いてしまいます。

この方法だと出来上がったメスカルの風味が弱くなってしまいます。

タオナで砕いて、すり潰すという作業の役割に微生物が

繊維内の糖にアクセス出来るようにするために重要です。

次の段階の発酵の際にご説明しますが、ココも肝心なのです。

 

そしてもう一つ、「Molienda del Mano」(モリエンダ・デル・マノ)

Mano(マノ)とは手の意味で、人の手で潰す方法があります!

Canoa(カノア)と呼ばれる木や石で作った臼(ウス)で

Mazo(マソ)という「こん棒」や「杵」で15時間かけて潰します。

とても時間のかかる重労働なのですが、Ancestral Mezcalでは

伝統的な方法を重視するので現在でもこのように造られるのです。

 

次回はFermentacion(フェルメンタシオン)発酵の段階に♪

さあ、どんな風に造られているのか?

写真は2019年6月にOAXACA(オアハカ)に行った際の半栽培畑の風景です。

場所はSan Francisco Sola de Vega/Quialela(ソラ・デ・ヴェガ/キアレラ)

成熟したアガヴェを収穫するファミリーは週6日、朝6時から18時まで4人~5人で

1日に約18トンを切り出して運びます。

すべて手作業!収穫した【ピニャ】を担いでトラックまで運びます。

現在約220種類のアガヴェの中から52種類のアガヴェが

メスカルの原料として使用されています。

詳しい話はのちのちお話しすることに致しますね。

 

そして、収穫したアガヴェは加熱・糖化の工程に入ります。

Tatemados(タテマド)という地面と岩で作った大きな地下オーブンです。

一番下に薪を敷き、その上に火山岩を置きます。

4~5時間程で火山岩が真っ赤になった頃合いで、「バガス」(アガヴェ繊維)を敷き詰めます。

前回の蒸留過程で残ったアガヴェ繊維です。

焼けた石が直接触れないようにしています。

そして、収穫した「ピニャ」(葉を落とした状態のアガヴェ)を乗せて

さらにその上にバガス・布やバナナの葉などをかぶせて土で覆います。

【パレンケ】(蒸留所)やマエストロの判断などで焼く時間は異なりますが

5日間~7日間焼き、加熱・糖化された「ピニャ」を取り出します。

焼きあがった「ピニャ」は甘くイイ香りがします♪

そのまま放置されているようにしか見えないのですが・・・(笑)

焼きあがってから数日間休ませるのだそうです。

焼くことにより、独特のスモーキーな香りを持つようになるのです。

そして、この後にMolienda(モリエンダ)すり潰してジュースを取り出す工程に移ります。

私は日々カウンターに立っていて

メスカルって何? テキーラとの違いは?

この質問が一番多いですね。

この辺りから始めようかと思います♪

簡単にご説明すると、テキーラも元々はメスカルだったのです!

Agaveを原料とする蒸留酒の総称が「MEZCAL」でありましたが、

約200年前まではこのような感じであったのですが・・・

時代と共に別々の歴史を歩み、進化したのがテキーラ!

何百年もの伝統を守り続けたのがメスカル!

もっと詳しくお話ししたいのですが、入り口としてはコノくらいがイイのでは(笑)

さあ!【MEZCAL】の世界にようこそ♬

1994年に【Consejo Mexicano Regulador de la Colided del Mezcal】

「NOM-070-SCFI-1994」 メスカル・アルコール飲料の生産に関わる品質と

安全性を保証する為の公式規範に基づき、グアナファト州・ドゥランゴ州

サン・ルイス・ポトシ州・ゲレーロ州・サカテカス州・オアハカ州の

6つの州でスタートし、2001年にタマウリパス州・2003年にミチョアカン州

2016年にプエブラ州が加わりました。

この規範は1994年に発行されたのですが・・・

2005年までは必須とはされませんでした。

2013年にCRM【Consejo Regulador del Mezcal】と組織名を変更し

現在もこのメスカル規制委員会がその役割を成しています。

法律上はこのように運営されています。

 

メスカルには大きく分けると3つの種類があります。

 

1 Industrial Mezcal

  純粋な商業目的のために大量に造られる商品(数千リットル単位)

  人工香料や発酵促進剤、着色料や甘味料などを使う工業製品。

 

2 Artesanal Mezcal

  数百年も続く伝統的な技術で、代々受け継がれるマスターメスカレロの知識と

  経験、技術を必要とする完全な農業製品。

 

3 Ancestral Mezcal

  基本的には販売や輸出はされず、地域のコミュニティー内での

  消費を目的に最も伝統的な方法で造られるメスカル。

  

このブログでは、Artesanal MezcalとAncestral Mezcal の2種類だけに

的を絞りご紹介いたします♪

何故かって?

メスカルには本当に多くの謎と魅力があるのです!

例えば、ブランドや銘柄、アガベの種類の違いごとの個性や

味わいがハッキリとしていることやメスカル特有のハーバルで

スモーキーなフレーバーも魅力的です。

それから、メスカルは生産規模がとても小さく、今だに電気や

水道が通っていないようなところで造られている場所もあります。

なので、この2種類だけがクラフト・メスカルなのです(^_-)-☆
その独自の生産背景もメスカルならではの魅力ともいえますね♪

次回は、その生産工程などのお話にいたしましょう。