歌うということ。 | *Spicy WONDERLAND*

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SPICEのボーカルのブログ。


あたしは


「歌う為に生まれてきた」


なんて大それたことは思わない。




例えばそれが、

MISIAとか宇多田ヒカルとか

そんなレベルの人だったら

そうかもしれない。



今のあたしには

そんな言葉は恐れ多いし、似合わない。



だけど、きっと今のあたしは

「歌う為に生まれてきた」わけじゃないけど、

「歌ってるから生きてられる」。



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ここに書くか迷ったけど、

実は最近歌声が出なくなってて。


体は元気だし、

風邪もひいてないし、

話す声も普通。




だけど、歌だけが歌えない。


マイクを通すと声が出ない。




今までも確かに声を使いすぎて

声が枯れてしまったことは何回かあった。


でもその時は喉が痛かったりとか、

風邪をひいたりとか、

何かしらの自覚症状があったから

改善できた。


だけど今回は

思いっきり元気なのに

歌う声だけが出ないんだ。


原因もわからないからとにかく怖くて。




最初はちょっと声が出づらいな、くらいだった。


正直言えば、6月の2本のライブも

声が出にくかった。


でも、

うちらにとって大切なライブだったし、

久々のライブだから、なんて

気にしないようにしてたんだ。



それから日を追うごとに

歌声だけが出づらくなって、

気のせいだ、気のせいだって思いこんで

練習してた。


練習してればいいって思ってた。




だけどさすがにちょっと怖くなって

病院に行った。


そしたら声帯は少し疲れてるけど

ポリープもないしってことで

特に薬も処方されなかった。


変な話、

そこでいっそのことポリープでも出来ていたら

原因も分かってほっとしたのかもしれない。


原因が分からない、

それが一番怖かった。




それからはずっと考えこんじゃって、


(何がいけないんだろう?

歌い方?

実は風邪?

精神的なもの?

練習が足りない?)


毎日悶々としてた。



だってライブ云々じゃなくて、

ボーカルじゃない普通の人が歌うような声さえ

出なくなってきてたから。



正直「歌」を聴くのも嫌になってしまって、

有線で流れるJ‐POPさえも

耳障りに聴こえた。





決定打は一週間前。



実家に帰ったんだ。


その時にね、お母さんとカラオケ行ったの。


そこでさ、びっくりした。


今まで歌えてた曲はおろか、

男性ボーカルの歌さえ歌えなくなってた。


すっごくすっごくショックだった。


さすがにこれはまずいって思って焦った。




はじめて、

「バンドやめなければいけないかも」

って考えた。



歌えないボーカルなんていらないじゃないか、


歌えなかったらあたしはSPICEにいられないじゃないか。


下手でもなんでも、

歌えることだけがあたしがSPICEにいれる意味だったのに。




その時ちょうど

いろんなことが上手くいってなくて。



今までは

たとえ他のことが上手くいってなくても

SPICEで歌ってられることが

あたしを支えてた。


バンドに打ち込むことで忘れられた。


だけど今、

その一番の支えがダメになってしまって

他のことも上手くいかなくて

自分の居場所がないような気がした。




そんな状態で東京に帰ってきて、

スタジオに入ってみたけど、

ついには今まで何百回と歌ってきた

ワンダーランドが歌えなくなった。


ああ、

いよいよだめかもしれない。




その日の帰り、

みおに悩みを相談した。


その時、


過去最高に弱気なあたしが

「もしあたしがこのまま歌えなくなってSPICEやめたらどうする?」

って聞いたの。


そしたらみおは

少し考えて

「なみたんがやめたらあたしもバンドやめると思う」

って言ったんだ。



歌の上手いボーカルなんていっぱいいる。


替えなんていくらでもきく。


歌えないなら他のボーカルをむかえればいい。



だけどたった一人でもこうして

あたしという存在だから一緒にバンドを続けてくれる人がいるなら

それならまだ頑張れるじゃないか。


そう思った。




次の日、

早起きしてちょっと遠い別の病院に行った。


そしたら、

薬がもらえた。


週一で通院しなさいって言われた。


一カ月くらいは歌うなって言われた。


ちなみにポリープではないし声帯は無事。



正直、

今も原因はよくわからないし

その薬が効くのかもまだわからない。


だけど、なんの原因も対策もなかったあたしにとって

少しでも改善する為の手段ができたことが

すごく救いになった。



それが昨日の話。





とりあえずしばらくは様子をみようと思う。


練習しないのは怖いけど、

歌もしばらく歌わない。


ライブがはいってないこの時期だったことが

不幸中の幸いかな。





心配してほしいとか

そんなつもりで書いたんじゃないよ。


これはあたしの決意みたいなもの。



遠い未来のあたしが

いつかこのブログを読む日がくるなら

どうか今の気持ちを忘れないでいてほしい。



あたしにとって歌うことが

恐ろしく大きな支えになってるってこと。


いつかはその支えが別のものになってるかもしれないど、

少なくとも今のあたしが

どんなに歌うことに支えられてるか。




だからもしこれを読んでくれる人がいても

心配しないでね。笑






「歌う為に生まれてきた」わけじゃない。


だけどあたしにとって


「歌うことは生きること」。




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