裏口入学は可能なのか? | 大学という斜陽産業

裏口入学は可能なのか?

子どもの頃だったか、大学教授に金品を渡して「息子をよろしく」とか「娘をよろしく」と裏口入学を頼みながらも子どもが入学できなかったので、その大学教授が殺される、なんていうストーリーのドラマを見たような記憶が僅かにある。

さて、金品を直接渡してはいないものの、職務に関する見返りとして裏口入学を依頼して、という某官庁と某大学に関する疑いに対する捜査に関する話題がここ数日マスコミを賑わしている。

しかし、大学に勤めて、入試の採点を始め合否のプロセスに関わった経験上、現場レベルではそんな操作はできない、というのが正直な感想である。

解答用紙がマークシートの場合は機械に読み取らせるので、解答用紙自体をどうにかしなければならない。皆が気づかないところで書き換えるか、あらかじめ用意した別の解答用紙とすり替える必要がある。しかも、当然、満点に改竄してしまえば逆に疑われることにもなりかねないので、それなりの点にしなければならない。となると、当日の受験生の出来にも左右されるので、これは至難の業だ。

記述式の場合、採点にあたっては解答用紙の受験番号と氏名は見えないようになっている。だけど、受験番号でめぼしをつければ、手心を加えられると思われるかもしれない。しかし、解答用紙は受験番号順に並べられているとはいえ、一定数ごとに何束にも分けられているので、自分が採点する解答用紙の束に含まれている受験番号をかを知るよしもない。しかも通常まとめるのは枚数単位なので、欠席者がいれば、仮に最初の1束目だとわかっていても、それが1番から順番に、例えば100番までの100枚がまとめられているかはわかならい。

さらにいえば、採点は何人かでチェックするので、間違っている解答に丸をつけて点を上乗せすることはできない。

その他色々考えても、勤務先では、学部長レベルであってもそのような操作をすることはほぼ不可能だと思わざるを得ない。

今回は理事長や学長が関与しているということではあるので、現場レベルでは不可能なことでも、それを覆すことが可能なのかと思うと、理事長やら学長の権限を強める改革は果たしてどうなのだろうか、という疑問を抱かざるを得ない。しかも、この改革の旗振り役が関与していると疑われているのが今回の件なのだから。