入試問題の外注。あるいは予備校には文科省から天下りが出来ないから? | 大学という斜陽産業

入試問題の外注。あるいは予備校には文科省から天下りが出来ないから?

さすがお役人。何を今更、の感がありますけどね、このネタ。いくつかのブログのエントリーが書かれているので、たまにはTBもつけてみます。


入試問題の作成や点検、私大の12%「外注」 (asahi.com)なんだそうです。



 私立大の12%に当たる71校が入試問題の作成や点検を予備校などに外注し、全問題を任せる「丸投げ」も18校――今春の07年度入試でのこんな実態が5日、文部科学省による調査で明らかになった。国公立大では外注はなかった。文科省は「入試は各大学が自ら行うことが基本」と強調、慎重に対応するよう求める通知を出した。



だいたい、河合塾が2003年に入試問題の作成を請け負うと表明している。文科省はその時も批判したようだけれども、河合塾自身がこれまで何校から受注したというようなデータ、出していたじゃないですか。その時にはどう対応したのだろうか。


 入試問題の作成では、他校分を含めて過去問との重複を避ける必要があり、教員の負担が大きい。さらに大学全入時代を迎え、幅広く志願者を集めようと入試の多様化が進んだ結果、多くの問題を用意することが必要になった。こうした事情から、外注でしのぐ大学が増えたと見られる。



勤務先でも、マスコミで大きく取り上げられるほど深刻なものではなかったですけれど、出題ミスが増えてきたので、一度検討したことがありましたが、教員からも反対意見が多く、結局没になり、今日に至っています。しかし、実際の作問の現場では、いわゆる教養部の解体で、社会科学系の学部では、みな「社会」科学でしょ、ということで社会(もちろん現代社会や地理や歴史に分けられて)の作問に駆り出されているし、「日本」人だし「日本語」で論文書いたりするでしょ、ということで国語の作問に駆り出されていますよ。


ですから、他大学の過去問なんかチェックしないし、ましてや他学部の過去問だってチェックしていない。せいぜい、自分の所属する学部の過去問で手一杯ですね。


 文科省は、中岡司・大学振興課長名の3日付通知で「外注は入試の機密性や公平性、中立性確保の観点から好ましくない」と指摘し、「慎重な対応」を求めた。


というわけで、少なくとも、勤務先では、この主張は全然説得力を持たないですよ。過去問や学部間の重複なんてチェックしていないので、その意味で公平性や中立性はあまりない。印刷は外部に依頼しているの、漏れる可能性もある。複数の人間が絡んでいる以上、絶対に機密性が保たれる保証はない。出題担当者がぽろっとどっかに漏らすかもしれないしね。


だいたい、大学関係者が作れば大丈夫だって言うのも甘い甘い。過去のセンター試験だって問題漏洩の噂が出たじゃないですかね。今年の司法試験だって慶應大学の教授が答案練習会を行って、そこで似たような問題が出されたって問題になったばかりじゃない。医師や歯科医師の国家試験だって何度も問題漏洩があったじゃない。大学関係者が作ったってしょせんそんなものですって。


だいたいこのブログで教育制度についてきちんと論じようとは思わないけど、文科省とかその関連の何とか会議とかは、現場を知らなすぎるって。


なんて色々書いたけど、受験生が(全大学の入学定員総数に比較して)減って行っている現状を考えれば、いずれ近い将来、独自の入試が実施可能な大学がどれだけあるのやら。


だからじゃないけれど、意見を求められる度に、「筆記試験に関しては独自入試は止めて、すべてセンター入試利用に一本化したら」って発言して顰蹙を買っています。


まあ、実際にするかどうかは別問題として、一般論としては予備校にはその性格上、問題漏洩をしたくなる動機が存在するので、問題作成のみを請け負う独立の組織があれば、そこに発注しても良いんじゃないですか。いいよ、いっそ、文科省所管の財団法人でも。そうしたら、文科省の天下り先が確保できるので、きっと文句を言わなくなるでしょう。予備校じゃうけいれてもらえないもんね、きっと。という穿った見方をするのは自分だけでしょうか。大学も作問という煩わしい業務から解放される。あ、でも外注に係るコストが問題か。