学部間での統一はどこまで行うべきか | 大学という斜陽産業

学部間での統一はどこまで行うべきか

このブログを始めた頃のエントリーにも書いたが、勤務先は、いわゆる総合大学である。文系の学部も理系の学部もある。そして、リンクなどを貼らないが、同業者のブログからもわかるように、大学間によってもカルチャーが大部違うように、文系と理系でも異次元の世界のような感がある。

 

従来、大学の各学部は、自治という名のもと、かなり勝手な独自性のあることをやってきた。しかし、大学間の競争が激しくなってきたせいか、上の方は、なぜか色々な面を統一しろと言い出してきた。

 

例えば、シラバス。今まで学部によってシラバスの様式等がかなり異なっていた。それを、全体で統一した様式にしろ、と言いだした。理由は、他学部履修などの便宜を考えると統一した方が良い、ということらしい。で、この結果が、良い方向に改められるならば良い。しかし、文字数も制限されてしまったので、学部によってはこれまでのシラバスと比較して半分ぐらいの内容しか書けなくなったと聞く。どうみてもこれは改悪でしかない。

 

この他にもいろいろあるが、学部の特性を顧みない統一の一例が試験時間の統一である。この議論が行われるまで、不勉強で知らなかったのだが、文系の自分は、学生時代、前の勤務先、今の勤務先、そしてこれまで出講したすべての非常勤先で、試験時間は60分というのが当たり前だったが、理系では90分の場合も多いそうだ。計算させたりする試験だったりすると、60分では短すぎるのだそうだ。そのような学問の特性を考えると、試験時間が学部によって異なることには合理性があると考えられる。しかし、上の方は、これを統一するよう求めているのである。理由は、これまた他学部履修の便宜を図るため、とのこと。

 

先に書いたように、勤務先は総合大学である。総合大学の利点は、文理を超えた科目を他学部履修で学ぶことができることにあるらしい。

 

講義はどこの学部も1コマ90分であるため、試験時間が60分の文系の場合、大抵は、講義とは異なる試験時間割を組み、同じ3時限目といっても開始時間が異なることがある。そして理系の場合は90分の時間帯があったりするので、文系の試験時間割とも開始時間が異なる場合がある。そしてこのようなケースで、一方の学部の学生が、自分の学部の試験時間割の開始時間で他学部の試験を受験しようとしたら、すでに試験が終わっていたことがあった、というのがきっかけらしい。

 

あと、見え隠れしてくる理由が、事務管理上の都合である。

 

しかし、学部の特性を殺してまでも統一する利点がどうしても見いだせない。でも、最近めっきり事務方の方が強いようなので、教員の意見は無視され、統一が進められていきそうな気がする。