なぜ大学には撤退戦略がないのか | 大学という斜陽産業

なぜ大学には撤退戦略がないのか

先日、また(個人的に?)嫌な話が聞こえてきた。学長がなにか新しい学部だか大学院を作りたがっているらしい。

18歳人口が減り、大学入学者というパイが減少しているのに、新設大学や新設学部をどんどん認めている文科省の方針もよくわからないが、大学のトップもなぜこうも何か新しい、しかも金のかかるものを作りたがるのだろうか。「これが私の学長時代につくった建物です」とか「私が指示を出した新学部です」とか言いたいのだろうか。

企業では事業の選択と集中が行われているのに、大学では規模を縮小(学部の閉鎖)したりして、特定の学部に力を入れる、みたいな方法はタブーなのだろうか。

もちろん、いろんな大学で学部の閉鎖に類することは行われている。しかし、そのほとんどはいわゆる改組であって、既存の学部を廃止しても結局は新たな学部を作るので、規模自体は縮小することはない。しかも、廃止した学部の教員の雇用も確保しなければならないので、実質的には似たような学部になるか、全く異なるような学部では教員の純増をもたらして、何のための改組かわからない例もたくさんある。だから、闇雲に新たな学部等をつくることがそれほど良い戦略とは思えないのだが。

もちろん、こんな事書くと、人(教員の雇用)の問題はどうするんだ、といわれることは想定している。でも、このままでは全員共倒れになりそうな感じでいやなのだが。「おまえが学長ならば、クビを切れるのか?」と聞かれても、YESとはいえそうも無いのも事実なのだが・・・。