ドラマ「愛の、がっこう。」

今夜は第9話の放送。


愛実の独り立ちがどのように描かれるのか

とても楽しみです。


8話では愛実が

これまでのカヲルとの関わりを経て

自分を想ってくれる

カヲルの気持ちに応えるためにも


自分の生き方を改め

自立(自律)することを選択したことにより


まわりの人々の内面や状況も

少しずつ変化し始める展開が

とても面白い回でした。


ここまで見てきて

舞台装置として「扉」が

印象的に使われているように感じているので

今日はその辺を記します。


第1話で

愛実が教え子の夏希を探して

副担任の佐倉と共に

ジョーカーを訪れるシーンで


店内へ入ろうとするも

鉄の壁のような扉の開け方がわからず

愛実が戸惑っていると


その様子を見ている

ジョーカーの松浦社長が

真面目な顔で


ひらけゴマ」と言うのです。


すると

ゴーッと音をたてて扉が開き

愛実は訝しげな表情のまま店内へ入ります。


もちろんその扉は

アラビアンナイトのアリババのお話のように

呪文で開くわけではなく


客には見えない受付側の机の下で

ボタンを操作しているのですが


この場面が私にはとても印象的でした。


後日

愛実がジョーカーに電話をかけて

カヲルに念書を書くように話す場面で


店の受付に座り

あの扉のスイッチを足で操作しながら

気怠そうに受け答えするカヲル。


このシーンからは

愛実が自分で開けられない扉でも

(見えていない部分)

カヲルなら簡単に開けられる

(見えている部分)

という示唆を感じました。


視野を広げるためには

他人のヘルプも必要ですよ


という暗示のような。


画面を二分割して

片側に愛実、片側にカヲルを配し

ふたり同時に見せてくる手法も

他のシーンでも使われていて


ふたりでワンセット


のような示唆も感じました。


「あなた無しでは…」

のようなあり方を選択してしまうと

精神的に自立できず

共依存になる危うさもありますが


精神的には個として自律した状態で

お互いをリスペクトしつつ


相手の経験やあり方から

気づきを得たり

感性を響かせ合える関係性が

もしかしたら

この先展開される…かもしれない。


未来への期待を持たせてくるようで

見ている私たちをワクワクさせます。



その後に愛実がカヲルを訪ねて

開店前のジョーカーに行くのですが


閉ざされた扉の前で

松浦社長が言っていたのを思い出し

「ひらけゴマ」と小さな声で

言ってみる愛実が

ものすごく可愛かったですキラキラ


ジョーカーの扉は開かなかったけど

愛実の人生の扉は


あの「ひらけゴマ」の呪文から

確実に動き始めたのではないでしょうか。





その後も

「扉」が何度も印象的に使われています。


同じく第1話で

念書を書くためカヲルと愛実が

マンションの屋上へ初めて行くシーンで


カヲルが屋上へ出るためのドアを

開けようとした時、ドアが固くて

1度目は開かず、2度目に強く押して

やっと開くのですよね。


第2話でも

愛実がカヲルとの待ち合わせのため

屋上のこのドアを開けようとするのですが、


最初はびくともせず、

2回目も開かず、

ほぼ体当たりで押した3回目で

やっと開く…という演出。


ふたりの関係性の扉も

愛実の人生の扉も

この時点では

まだ固くて動きにくいのですね。


(大好きな屋上シーンの始まりでもあるドキドキ)


それから


教材用の電車の本を

愛実から受け取った後

ジョーカーに出勤したカヲルが


自分のロッカーにその本を投げ入れ

バタンと扉を閉めるシーン。


あなたのこれからのためにも


愛実の言葉をきっかけに

心の中に芽生えた

小さな何かに気づきつつも

それを見ないようにして


NO.1になることだけに

意識を集中させようとする

カヲルの内面が伝わってくるような

ラウールさんの瞳の演技が

素晴らしかったですチョコ


また、


6話「二人だけの遠足」で

カヲルが

三浦海岸駅の改札に切符を入れると

金額不足で改札が開かず出られない場面。


ここでも「扉」が開かない。


カヲルは強引に出ようとしますが

愛実に嗜められて引き返すという

ほのぼのとしたシーンでしたが


本心に蓋をして

愛実との別れを決意したカヲルの

前へ進みたい心と行動が

相反しているということを

開かない改札扉が暗示しているようで

見ていて切なかったです。

 

三浦海岸のレストランで


「あなたは時々心のドアを閉じてしまう」


と愛実は言います。


「説教かよ。もう会わないのに」


と答えるカヲルに


「もう会わないからこそ言う」


と言うのですよね。


「ひらけゴマ」は扉を開ける呪文。


全く違う世界でも

同じように心に闇を抱えて生きる


愛実とカヲルが出会い

思いを通わせることで


お互いの心の扉を開ける

扉の鍵を持っている者同士

なのかもしれない。


じぶんを知るには

その姿を映してくれる

他人の存在が必要だったりします。




また、


第8話で

親元から離れることを決めた愛実が


支えになってくれたぬいぐるみ達と

(リラックマがいないのは何故)

カヲルとの思い出の帽子を

ロッカーの中に片付けて

自らの意志で扉を閉めるシーン。


ここも印象的でした。


扉は開けるだけでなく

閉じることも必要だからね。

 

そういえば

ふたりの屋上シーンでは

扉が開いたままの状態で

映し出されているところもあって


そんなところも

深読みすると面白いのですが真顔


開ける

開いている

閉める

閉まっている


バタン!と閉める…


それぞれの行動や状態から

愛実とカヲルが歩んでいる

段階や心の中が見えるようで

とても素敵な演出だと思います。



あ、その帽子は置いていかなくても…


と一瞬思ったのですが、


愛実が前へ進むことを決めたのは

カヲルが自分のために

嘘をついてくれたことに

応えたいという気持ちが強いから


捨てたわけではなく

片付けたわけなので


今はこれで良いのですね、きっと


カヲルは今も

帽子を大切にしているけどね…にやり


そういえば

入院中の7話で

愛実との電話を切った後

鏡に向かって帽子を被ってみる

カヲルの切なく哀しい表情たるや…

ちょっと可愛いのも反則

もう本当にラウールさんすごすぎますねビックリマーク


「おそ松さん」のトド松役のときから

ラウール演技の可能性も無限大と

わたしは感じていましたよ、はい。


さて、愛実は次に

どんな扉を開けるのでしょうか。


今夜の第9話も楽しみで仕方がない


まんまるスフィアピンク薔薇でした。

See you目