11月に予告したコアヒートでの輻射暖房はカーボンヒーターに軍配が上がった。
今年は暖冬。といっても毎朝マイナスになる我が家の地域。コアヒートをそれほど寒くない段階から一ヶ月半使用したが、カーボンヒーターを使ったときのような快適な温暖環境を実現できなかった。つまり、壁や天井などをうまく温めることができなかった。もっと長期間使えばという可能性はあるが、この程度で出てくれないことには使えない。寒さが本格的になった頃にはさすがに我慢も限界でカーボンに切り替えた。それから2週間ほどで何とか冷えを無くし、今は大体、快適になっている。
いろいろ試してみて、遠赤外の物体への吸収の高さはよくわかったが、それが実は仇となった。部屋の中のコアヒートに近い物体が多くを吸収してしまい、壁や天井に届かないのである。遠赤外ヒーターと言っても赤外線、ごく一部ながら可視光レベルの輻射も出すから全てが全て途中で吸収されるわけではない。なので、一番バランスして快適性が得られるのが遠赤外ヒーターだろうと推定した。それが出やすいような工夫をしてみたが、残念ながら家そのものを温めることには成功しなかった。家財に吸収されることが多く、家自体にはあまり届かない。家財暖房装置になってしまっている。
もちろん、人に直接できるだけ多くのエネルギーを与えて温めるという目的としては高性能だ。カーボンや電気ストーブより上である。しかし、吸収効率があまりによいために、当っている面ばかりが暖かく、反対の面が寒いという状態になる。つまり、裏側に輻射が届かないのだ。したがって、壁がいつまでたっても暖まらない。予想外に遠赤外の輻射吸収の良さがわかった。
快適性で言うと悪化。全体的に包まれるような温かみが作れない。
目的が達せられないという意味では無駄な投資になってしまったが、現在は違う使用目的を探している。それに、来客への即効暖房としては使える。
よく、遠赤外なら電気代半分とかいう謳い文句があるが、完全な嘘っぱちで、エネルギー保存則からもありえない。たしかに人が受ける感じは違うときがあるかもしれないが、長時間の暖房では差が出ない。あとは効率のいい構造かどうかだけである。輻射暖房の道具としては電気ストーブとカーボンヒーターに差異が無いことは確認している。ほかにかつてのハロゲンヒーターも考えられるが、あまりに可視光域が大きくて、壁材が温まりにくくなる。一般に効率が悪いと言われる所以。それに眩しすぎて使いにくい。よくあるパネルヒーターやオイルヒーター、シーズヒーターなどもコアヒート同様、遠赤外中心なので適さないし、加熱管が剥き出しではないので効率が悪い。少し可視光に近いと思われるグラファイトヒーター(アラジン)も試したがカーボンと差はない。むしろ照射がビーム的で眩しく快適性に難あり。つまり、眩しくならないぐらいの赤熱するものがよく、昔ながらの電気ストーブやカーボンヒーターが結局は理想的な輻射暖房器具で、チセ効果を得るために最適と言ってよいようだ。それに、赤熱するのが囲炉裏の炎と同じで、寒さに立ち向かう気力を与えてくれる。人間には炎が本能的に必要なのかもしれない。
もし、我が家と同じことをしてみようという奇特なお方はカーボンヒーターか電気ストーブで適切な出力のものを選択すること(火災対策で1kW未満)をお勧めする。我が家のカーボンヒーターは大きい方でも最大600Wである。(ただし、漆喰内装で木造の我が家と内壁材や構造材などの違いで効果が違う可能性があるのと、窓がトリプルであることをご了承のほど)
それにしてもこの結果は想定外だった。悪くてもせいぜい変わりがない程度と推定していた。
※
輻射暖房に拘るのは3つ。まず、体感温度の主体であること。次に温風ヒーターでいくら空気を温めても24時間換気であっさり持っていかれてばかばかしいこと。最後は快適性で、優しく包まれるような温度環境は室内空気暖房では得られないこと、である。うまくいくと、室温下げてエコにできるし、床暖より快適で制御性も高い。高気密高断熱では全館暖房がよいと言われるが、制御性が高い我が家の方式の方がエコになる。
アイヌのチセを知ることがなかったら、こんな暖房を目指すことはなかったし(具体的に示している人はいないかもしれない)、エコで快適な暮らしは実現できなかった。先人の知見には本当に敬服する。今、振り返ってもアイヌの知恵がなかったら成功に至らなかったと断言できる。
チセを知る人は、基礎を温めないと違うのではないかと思うかもしれない。そこはシロアリ対策上、断念している。なので、家の躯体への蓄熱のみを取り込んだ方式となっている。それが成立するかどうか当初は不明だった。適切な暖房器具を選ぶことで可能だとわかったというのがこの1年の努力の結果だ。
※※
室内空気の暖房はガス温水ヒーター(ルームヒーター)である。エアコンと違って乾燥こそしないが、高温の温風は快適とは言えない。エアコンを嫌いガス温水ヒーターにする人も結構いるようだが、24時間換気に向かないし、現時点では一押しの主暖房とはいかないように思う。では他にというとなかなか代替手段がない。床暖の人気はこういった背景もあるかと思う。ただ、温水ヒーターはガスを使ってはいるが制御性は抜群で、地震ではガスの弁が閉鎖、温水量が少なく停止して困ることもない。夏はコネクタから外せて仕舞え便利である。北国を除きあまり使われていない暖房器具の1つと思う。
カーボンと温水ヒーターと2種を使い、陽射しの強さや外気温に合わせ適宜調整して快適性を一定に保つようにしている(カーボンは陽射し代り。快晴の昼間は2つとも動かさないことが多い)。床暖だけではこうはいかない。個人的に床暖は不快で合わないだけでなく、快適性に疑問を持っている。ほとんどの人は暑い状態で暮らしているか特殊な不快性を伴っているはずと思う。床暖を持つ友人の話をきいてそう思う。何よりエコと相反することが多い。我が家はおそらく、できうる最小エネルギーで実現できていると思う。カーボンを動かしていない部屋はさすがに難しいが、動かしている部屋では裸足で過ごせることが多い。ルームソックスを履いて温度を低めに抑えることもある。
一番快適なのは温水パネルヒーターを窓下などに配置したセントラルヒーティングとよく言われる。おそらく厳冬期はそうだろうと思う。しかし、パッシブハウスでもなければ気温や陽射しの変化によって体感温度は大きく変わるし、制御する必要がある。それもできるだけエコに。そうなると厳しい。厳寒の雪国あたりならやる意味もあるだろうが、それ以外の地域ではオーバースペックだろう。それに、温水パネルは設計段階で決めねばならず、出来たあとは家具の配置変更に制約が出たりするし、修理も容易でない場合がある。よっぽど寒い地域を除いて勧めない。冷房はほとんど手段が決まっているが、快適な暖房はなかなか難しい。それを根本から無くそうというのがパッシブハウスである。
※※※
エコに拘るのは、雪国で生れ育ったときの借家が古く、暖房ではストーブでの灯油の大量燃焼に頼ってエネルギーの無駄使いをせざるを得なかったことへの罪滅ぼしである。ここまで明確に温暖化が生じていると我々が暮らしてきた方法に問題があったということに尽きる。しかし、日本がやっとまともな豊かさを手にしたのは80年代と言える。それまでは仕方のなかったことだと思う。少なくとも今のような家を手にすることは当時は不可能だったのだから。その言い訳もこれからは通用しない。