以下はエンパイヤステートビルに採用されているトリプルガラスである。
英文では断熱性能が4倍になっていると書いてあるだけで具体的な数値は入っていないが、聞くところではU値0.3だという。まるで化け物のような断熱力を誇る。クリプトントリプルがほぼ0.8(基準の厳しいドイツではこれが最低基準になったかなるかと聞いている)、クリプトンクワッドが0.5とか言われているので、とんでもない数値である。しかも、クワッドではなくトリプルでこの数値である。クリプトンでもクイント(5枚ガラス!)で実現できるかどうかである。アルゴンあたりではもうクワッドにしてもそう下がらないので(窓厚みをすごく増せば可能)、0.3が如何に凄いかわかってもらえるだろう。
どうしてそれが可能か?
明記されていないが、キセノンを使っているらしい。クリプトンよりさらに重い希ガス族の元素だ。重いガスの方が対流が起きず、そのため断熱性能が上がるわけだが、この調子でいくと、最も重いラドンはどうかと考える人がいると思う。ラドン温泉なんて言葉があるぐらいでついでに健康にいいかもしれないと考えることだろう。
残念ながら、ラドンには安定原子がなく、全て放射線を出す。そのため発がん物質である。なので、ガスとして濃厚に封入して家庭のあちこちに配置するのは無理だ。
それにしても凄まじい。0.3なんて数値が現実に突き付けられるとどのあたりを基準にすべきなのかと思ってしまう。北海道あたりのパッシブハウスでもここまで要るかどうか。。。
キセノンでクワッドなんかが出たらどんな数値になるのか。南極用としか思えない。
とかく家の断熱性能を求めて断熱材をこれでもかと調べたりしている人が多いが、その設計はそれほど難しくない。むしろ差が出るのが、吸保湿と窓の断熱だ。吸保湿は壁材や断熱材の選択でこれも多くは対応可能だ。問題は窓。窓はケチる人がほんとに多い。アルゴンのLow-Eペアで十分だろうと思っている人が圧倒的に多いが(工務店側の勉強不足もある)、実際は家の断熱を今もって大きく損なっているのが窓である。今の日本の平均的な新築の家でもクリプトントリプルぐらいあってもいいのだが(北東北や北海道では最低基準と言っていい)、高いから全然普及しそうもない。1軒の窓全部で100万近く上がると聴くとたぶん引くだろう。しかし、光熱費と何より快適性が違う。窓というのが一番快適性を確保する要因としてコスト的には見合っているようだというのが最近の私の考えだ。
我が家もいずれ、クリプトンクワッド級かそれに近いガラスが出たら交換したいと考えている。数値的には0.65以下。オーバースペックのようだが、風の強い地域なので1つ上にしておかないと快適性は厳しい感じだ。
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クワッドはとにかく重いので(ガラスを薄くすると耐震に問題が出る)、現実的なところで現時点で国内最高トリプルはおそらくこれ。
http://shinku-glass.jp/21/index.html
U値0.70の商品がある。アルゴンなのが残念。クリプトンで0.6を切れるはず。トリプルでクリプトンクワッド級はこれでしか実現できないだろう。キセノンでは同等の0.3ぐらいか。ただ、日本での使用に意味があるか疑問。むしろキセノンのペアのニーズの方が多い気がする。あとは値段。