憲法第一問
一 1 本問法律は、性犯罪者のプライバシー権を侵害するものであ
り違憲ではないか。まず、そもそもプライバシー権が憲法上保
障されるか、憲法上プライバシー権に関する明文規定がないた
め問題となる。
2 思うに、憲法は人権カタログにある権利しか保障しない趣旨
ではなく、制定当初において特に重要と考えられていた人権に
ついて規定したにすぎない。そこで、人権カタログに無い権利
であっても、人格的生存に不可欠と考えられる権利については
新しい人権として13条後段により保障されると考える。
3 これを本問についてみると、前科・前歴に関わる情報は個人
情報の中でももっとも他人に知られたくない情報であり、これ
らが不当に他人の自由に委ねられれば、実生活での信用を失う
ことも考えられる。とすれば、かかるかかる情報をコントロー
ルする権利としてのプライバシー兼は人格的生存に不可欠であ
るといえ、13条後段により保障される。
二 1 もっとも、かかる人権も絶対無制約なものではなく、公共の
福祉(12条、13条)による必要最小限度の制約を受ける。
では、本問法律における性犯罪者についての個人情報の開示が、
プライバシー権に対する必要最小限としての制約として合憲と
いえるか、違憲審査基準が問題となる。
2 思うに、前述のように前科・前歴にかかわる情報は個人情報
の中でももっとも他者に知られたくない情報であり、これが不
当に侵害されれば実生活で他社からの信用を失う等の不利益を
負うことから特に保護すべき必要があるといえる。そこで、プ
ライバシー権に対する必要最小限の制約として制約として合憲
となるためには、①目的が重要であり、②かつ、目的と手段と
の間に実質的関連性を要するという厳格な合理性の基準によっ
て判断すべきと考える。
3 これを本問についてみると、①13歳未満の子供は未だ発育
途上にあり、自己で独立した生活を営むことができず、しかも
心身ともにぜい弱であることから性犯罪からに自己を防衛する
ことは著しく困難であるといえる。そこで、保護者たる親権者
が子供に代わって性犯罪者から子供を守る必要がある。そして、
これを容易にするためにためには、子供に対して性犯罪を犯す
可能性がある者がどこにいるかをあらかじめ知る必要があると
いえ、本問法律は重要な目的を有するといえる。そして、②子
供が接触し、加害者となりうる可能性が高い犯罪者は同一市町
村内に居住する者である。そして、かかる者による性犯罪から
から子供を保護するためには、事前にこれらの者を特定するに
足りる関する情報が必要であるところ、氏名・住所・顔写真が
あってはじめて特定が可能となるといえる。また、開示される
のは前述の情報だけにとどまり、過去の具体的な犯罪態事実ま
でもが開示されるわけでもないから目的との関係では過ぎたも
のといえず、目的との関係でも実質的な関連性を有するといえ
る。
とすれば、本問法律は性犯罪者のプライバシー権に対する必
要最小限度の制約といえ、不当な侵害とはいえず合憲である。
以上
再現率80パーセント
憲法第二問
一 設問前段について
1 公職選挙法第10条は、衆議院議員と参議院議員とで、被
選挙権の資格について年齢差をもうけている。そこで、年齢
による差別として憲法44条但書の趣旨に反し、違憲ではな
いか。
2 確かに、議員定数や選挙人の資格については立法裁量に委
ねられている。しかし、かかる立法裁量も法の支配の下、憲
法には拘束される。そして、そもそも44条但書が「人種~
収入によって差別してはならない」規定した趣旨は、法の下
の平等について規定した14条1項の趣旨のあらわれであり、
憲法の明文上認められた例外以外の事由による差別も禁止さ
れていると考える。
3 そして、憲法は両議院の構成について、衆議院議員につい
ては任期を4年、参議院議員については6年とし、衆議院に
ついて解散規定を設けているにすぎない。
とすれば、公職選挙法第10条は44条但書は、参議院の
被選挙権の資格について年齢による差別を設けている点で4
4条但書の趣旨に反し、違憲である。
二 設問後段について
1 それでは、衆議院議員及び参議院議員のいずれも披選挙権
の資格を年齢満35歳以上の者とすることについてはどうか。
前段と異なり、両議員とも被選挙権の年齢については同じで
あるから、かかる点については差別はない。しかし、35歳
未満の若手には被選挙権が認められない点でやはり年齢によ
る差別として44条但書の趣旨に反し、違憲ではないか。
2 確かに、国会の果たすべき役割である多数の民意の反映・
統合を達成するためには、一定程度の人生経験・教養や、政
治的資質が求められることは否定できない。しかし、かかる
資質等を備えているかどうかは本来選挙民が行うことである
はずである。また、若手の斬新な政治的意見が国政に反映さ
れないという問題もある。そして、成人以上であれば民意の
反映・統合という能力について備わりだすと思われる。
とすれば、両議員の議員の被選挙権を成人まで引き下げる
ことは容認されるが、これより引き上げることはやはり年齢
による不当な差別として憲法44条但書に反して違憲になる
と考える。
3 以上より、本問後段の改正は国会議員の被選挙権について
被選挙権の年齢により若手を不当に差別するものであり、4
4条但書の趣旨に反し、違憲である。
以上
再現率80パーセント