民事訴訟法 第1問
一 弁論準備手続とは、争点および証拠の整理を行うため必要がある
と裁判所が認めるとき、当事者の意見を聴いた上でなす準備手続を
いう(168条)。
二 特徴について
1 弁論準備手続はあくまで準備手続であり口頭弁論ではない。そ
こで、口頭弁論に適用される諸原則、すなわち双方審尋主義や口
頭主義、公開主義、直接主義が必ずしもそのまま適用されている
わけではないが、諸原則のもたらす利益を不当に損なわないよう
一定の配慮がなされている
2 まず、弁論準備手続は双方が立ち会うことができる期日におい
て行われる(169条1項)。これは当事者から対等に言い分を聞
くという双方審尋主義の現れである。
弁論準備手続は口頭弁論ではないものの、そこで行われる手続
次第ではその後に実施される口頭弁論において準備の不十分な当
事者が不当に扱われることのないように、一定の配慮がなされて
いる。
3 さらに、裁判所は相当と認める者の傍聴を許すことができると
し、当事者が申し出た者についても手続に支障を生じるおそれが
あると認める場合を除いて傍聴を許さなければならないとしてい
る。
弁論準備手続は口頭弁論ではないのだから必ずしも公開が要請
されているわけではないが、手続を公開することにより国民の信
頼を確保するという公開主義(憲法82条1項)の趣旨を可及的
に及ぼそうというものである。
4 そして、裁判所は弁論準備手続を実施するにあたり、準備書面
を提出させることができる(170条1項)。これは弁論および
証拠調べを口頭で行うという口頭主義の例外にあたる。口頭で行
われた弁論や証拠調べは裁判所にとって新鮮であり与える印象が
強く、事案を把握するのに適しているため口頭主義が採用されて
いるが、複雑な事実や法律構成が口頭で述べられればその把握が
難しいため、準備書面であらかじめ提出することが求められてい
る。
そして、弁論準備手続においてもその全てが口頭で行われれば
事態の把握が困難となってしまい、ひいては口頭弁論の準備のた
めに弁論準備手続を実施した意味が損なわれてしまう。そこで、
弁論準備手続においても準備書面の提出を求めることができると
されている。
5 さらに、弁論準備手続においては受命裁判官に弁論準備手続を
行わせることができるとされる(171条1項)。これは、判決
はその基本となる口頭弁論に関与した裁判官がするという直接主
義の現れでもある。その趣旨は、弁論や証拠調べを行った裁判所
がもっとも事態を把握していることにある。もっとも、口頭弁論
においては直接主義の例外として受託裁判官による証拠調べ等が
認められているのに対し、弁論準備手続においては受命裁判官に
よるものしか認められておらず、直接主義により配慮されている
といえる。
三 終了の効果
1 まず、手続終了後の口頭弁論期日において、当事者は弁論準備
の結果を陳述することが求められている(173条)。これは上述
のように弁論準備手続は公開が制限されているため、これに配慮
する目的でなされるものである。
2 さらに、弁論準備手続の終了後に攻撃防御方法を提出した当事
者は、相手方の求めがあれば終了前に提出できなかった理由を説
明しなければならなくなる(174条・167条)。これは弁論
準備手続を経たにもかかわらずさらに攻撃防御方法の提出を許し
たのでは準備手続の意味がなくなるから、当事者に緩やかな制裁
を認めたものである。
以上
再現率85%