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faketownlife

この世界を嘘にするも真にするも自分次第。矛盾と言う名の海に溺れそうになりながら、「それでもなお」明日を目指すのです。

スタッフに一人、日本人形の様な子がいる。

紙は黒髪、前髪パッツン。

肌は雪のように白く、話し声や接客の際の声も、消え入るように儚げだ。

だがしかし、仕事のスピードは恐ろしく速い。もしかしたら俺でもかなわないかもしれない。そのギャップが非常に謎である。

そして、その雰囲気に似つかわしくない黒い色の非常に強いバリアを張り巡らしている。

他の女性スタッフはそのバリアにやられて5分と持たない。

何が持たないって、間がもたないのだ。

何か話しかけても、二言程度。三言まで続かない。

「何々で、こうだよね」

「(一応笑顔で)はい」

「・・・」

「あれで、こうでね」

「そうですか」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

ちーん(;^ω^)

想像してみてほしい。店の中に二人、空間に大きく「・・・」が存在している様を。

初対面からフランクに接することが得意な俺も、さすがに苦戦を強いられた。というか、その仕事ぶりに、ベテランということもあるが、少しばかりの傲慢さも感じられ、少し嫌悪感を抱いてもいた。自分にしては珍しく、

「放っておこうか」

今以上のコミュニケーションを図ることに、諦めを感じていた。

余計なこと以外は言葉を交わさない、そんな関係が続いて1週間。

結局、我慢できないのは俺のほうだった。

「他人をいないものと思っているのか、俺がよく思われていないのか、なんなのか、よくわからない。けど、何も分からないまま彼女を”こう”だとは決めつけたくない。きっと何かあるはずだ」

「少ない可能性だけど、もしかしたら関わり続けてくれる人を求めているのかもしれない。」

俺は、その少ない可能性に賭け、攻め込んでみることにした。



彼女は現在専門の2年生。将来は幼児教育のエキスパートを目指している。子供が好きなのだそうだ。

そして、彼女のラインのホーム画面は、嵐である。

俺は、この二つが話の糸口だと直感した。


ある日の朝のこと。

「Aさんは、ラインのホーム画面、嵐だよね。それに、子供が好きなんだよね?」

「はい」

「つまりはあれだ、見目麗しいものや、美しいもの、子供のような純真なものに触れて生きていきたいということなんだよね?」

と、ことさらに強調して聞いてみた。

すると、ちょっと噴出して笑ってくれた。

彼女は品物の片づけが恐ろしく速い。

極端な話、俺が視線をそらしている間に、振り返ったらもうないというような状況だ。

そこで俺は言った。

「Aさんはさ、あれですか、何か異次元的な力をお持ちですか?」

彼女は困ったように笑いを浮かべていた(苦笑)

そこで俺は続けた。

「Aさんはさ、ここで長いけど、高校時代からだよね?ほかに浮気しようとは思わなかったの?」

この「浮気」という表現が可笑しかったらしく、また笑いながら答えてくれた。

「実は、ここが初めてじゃないんです」

(初めてじゃない・・・処女じゃないんだ)などという妄想を思い浮かべながら次の言葉を待った。

「はじめは某小売店でバイトしていて、そこが初めてでした。でも、そこのオーナーが気持ち悪くて・・・」

思わず吹き出す俺。

「あぁ、そうね、気持ち悪いのいるよね。いや、結構いるかも。それは残念だったね」

「そこで、レジに初めて入った日に大きなマイナスが出て、それを私が新人だからということで私のせいにされて、払わされたんです」

まったく、酷い話だと思った。典型的な酷く腐った大人の対応である。

高校1年生の頃のことだそうで。

この世界の汚いに、早々に触れてしまった過去の経験。

「大人って、汚い」そう深く思ったであろうことは想像に難くない。

彼女が他を寄せ付けないバリアを張り巡らせるようになったのはそればかりが理由ではないだろうけど、その一端は垣間見れたのかなと思った。


後日、そのことを彼女を知る上司や同僚に伝えると意外な回答が返ってきた。


「へぇ~、そうだったんだ」

(嘘、知らなかったんだ・・・)


おそらく、物静かで反応の薄い彼女のことを見て、誰も踏み込もうとはしなかったらしい。

俺のこの踏み込みのことを彼女がどう感じたかは分からない。

しかし、前よりは彼女とスムーズにコミュニケーションが図れるような雰囲気が作れたと感じている。

依頼した仕事も完璧にこなしてくれるし。

始めは、「もしかして、俺との時間が合わないとでも思って、しばらく来ない期間あるし、それ以降来ないんじゃないかな」と内心思っていたのだが、彼女はちゃんとそれ以降のシフト希望を出してくれていた。

その人の一面だけを見て人となりなど、当たり前だけど、到底判断はできない。

感情のコントロールはいつだって難しいけど、その人の背景にあるものに常に思いを張り巡らせて行きたい。

人間というのは多面体、多様性の生き物なのだから。
「この前いつ休んだんだっけ?」

色々仕事上のイベントが目白押し、人の手当ても上手くいかないやなんやで、早朝~深夜のロング勤務あり、ほぼ無休。気付いたら、夏も終わりに近づいていた。

先日会議で、社内の各店評価結果報告があり、10数店舗あるうちの2位という結果を得ることができた。


この3ヶ月。本部からの評価、社内での評価、一つの山場であった棚卸(ここでミスると評価がすべてふいになる)を無事乗り越え、久しぶりのフルの休日。なんだかんだで5時に目が覚めてしばらくぼーっとしたあと、この記事を書いている。

数日前までは重度の疲労と眠気でぶうっ倒れそうだったが、全て無事に終えて、今は心地よい疲労感に包まれている。やり切った感というのは、蓄積した疲労を緩和してくれる良薬だ。



今のお店には様々なタイプの子がいる。

ついこの間まで制服を着ていた18歳のパートナー。はじめは、その社会人経験のなさからくる拙さ、幼さにイラッとくることも多く、初期教育が大事と思い、結構厳しめに指導する日々が続いていた。

しかし、毎日のように顔を突き合わせて数ヶ月。

ミスはしても、俺の指示に二つ返事で従う素直さ、仕事の呑み込みの早さ、センスある売り場づくり。なによりも、ちょっと厳しいことを指摘したら辞めてしまうスタッフがいる一方で、厳しく指導してもへこまずについてきてくれた。その有難さは計り知れない。こちらの人としての真意、誠意が伝わらないことほど切ないことは無いからだ。憎くて言っているわけではないのに・・・。

だから、いろいろあってもついてきてくれる彼女が、いつしか、とても頼もしい存在になっていた。そのまだまだ純真で献身的な姿勢に、愛おしさすら感じるようになっていた。「彼女を大事にしなきゃ」。仕事ができると愛されるって、こういうことかって改めて思った。


そして、俺も教育モードから彼女を同志と認め、共闘モードになって良く話すようになってから打ち明けてくれた、女子としての意外な(おかしな)一面。「まだ誰にも話したことないんですけど、・・・諸々・・・。店長には知っておいてほしくて」。

内容は、おおよそ女子らしい話ではなかったのだが(苦笑)、俺は彼女に深く好感を抱いた。愛が増したといってもいい。俺は女子女子した子、つまりガーリーな子が苦手なわけで、俺の中の深層心理を辿ると、きっと、女が嫌いなんだ。特にめんどくさい女。

だから男性気質のあるさっぱりとした人が好きなわけで(結局母親がそういう人)、なおかつ変なところがあるとすごくいい・・・彼女は後者に当たる。彼女は恥を打ち明けたと思っているのだろうが、俺にとってはむしろ、当たり!の内容だった。

そして、ついこの間から俺は彼女のことを「俺の娘」と呼び、彼女は俺のことを「お父様」と呼ぶようになった。何かいいことをしたとき、「さすが俺の娘!」といえば、「当たり前です!お父様の娘ですから!」こんな軽口をたたき合える仲になった。

大体、俺が売り場を離れると、彼女は丁度休憩の時間。業務整理をしている俺の横にちょこんと座ってご飯を食べ始める。そして始まるたわいもない会話。あるいは、黙っていても気まずくない空間。

いつか、何かあって彼女が売り場に急いで戻ろうとした時、「出陣か?」と声をかける俺。彼女は「本当は・・・」と言いかけて事務所を出ていった。その先の言葉がなにかは別に気にもかけていなかったが、戻ってきて一言、「さっき言いかけたことなんですけど、『本当は、もっと店長とお話していたかったんです』、って言いたかったんです」とはにかみ笑顔で述べる彼女。

俺はよく、しょーもないミスをした経験や、くだらない冗談を彼女に吹っかける。有り難いことによく笑ってくれる。そして、いつからか彼女も何気なく思ったことや、同じくショーもないミスをしたことを報告してくるようになった。「ただ、そのことを伝えたかったんです」と。まるで、ありふれた日々における親子の日常会話である。

一時を乗り越えて、お互いに幸福な関係を築けたのだろう。大変な日々の中にも、いいことはちゃんとある。いや、たゆまぬ努力でいいことは呼び起せるものなのだ。如何ともしがたい現実をどう料理するも、本人の心の強きによりきり。

人に関わり続けるということ。

その根本は「信じる」という一点に尽きる。

ただそれは、何もわからず盲目的に信じるということとは全く別次元の問題なのです。


流石に、お気に入りの曲コレクションでも一曲もシックリ来ない時がある。

やっぱり、そんな時は新曲に限る。


{CC8F4A1E-12F2-4075-87B5-91647D86B77B:01}


「誓い」


新曲「ラブ・サーチライト」のカップリング曲。


今の俺にはこっちのほうがしっくりくる。


今や押しもせぬ人気俳優・遠藤賢一。現在放送中の「家族狩り」の刑事役が堂にいっている。


学生時代、彼の講演会に参加する機会があった。まだ悪役として名を馳せていた頃の事だ。


講演の中で彼は、ある一片の詩を紹介していた。それこそが彼の指針であり、支えであるという。


一本の道がある


この道を歩く時


僕の顔には希望と微笑みが湧く


僕はこの道から絶対に逃げない


彼も誓ったそうです。


“この道から絶対に逃げない”
と。


自らの誓いに生きる


それこそが、人間として尊い生き方なのだろうと。







君とまた手を繋ごうと思ったのです


一緒にまた夢を見ようと思ったのです


たくさん苦しんで傷ついたけど


また始めようと思ったのです


君とまた声を交わそうと思ったのです


君とまた笑い合おうと思ったのです


待つだけじゃ届かない想い


だから会いに行った


二人が育んできたその花の蕾を芽吹かせるために


その蕾が、今花開くよ







離れていたこの数ヶ月。以前のように、優しい気持ちで話を聴いてあげられる自分でいる自信がまったくなかった。

そんな気持ちを麻痺させるように仕事に打ち込む日々。

あるいは気持ちがなくなったとき、楽にはなっても空っぽの自分を想像して愕然とした気持ちに襲われていた。

あれから、ただの一度もご飯を美味しいと思ったことは無く、お腹が空いたという感覚もなかった。ただ、生きるために目の前のものを詰め込んでいた。やっと少し、「あれ
?美味しい」と感じられたのは、仕事で一つの結果が出たその日の晩のことだった。

そして、やっと「あぁ~、お腹空いた」そう感じられたのは、あの子と会って、話して、笑いあった、その次の日のことだった。

これから、仕事はもっと大変になる。そうなる前に、疲労を押してでも彼女に会いに行っておいて本当に良かったと思った、今、この瞬間。

「もう、以前のようには話せないかもしれない・・・」そんな臆病な気持ちに打ち勝った自分の中の勇気に乾杯。

「いい時は長くは続かないものですね」

事務所で煙草の煙をくゆらせながら彼は言った。手にはセブンスターのメンソール。彼のお気に入りの銘柄だ。俺の手にはマルメンライト。二人して禁煙しようしようといいながら、結局煙にまみれる毎日だ。

1位の結果を出して程なく、相棒が新店舗の責任者として異動になることが発表された。ふたりで「こうなったらここを最強店舗にしましょう!」と意気込んでいた矢先の出来事だった。

彼はゆくゆくはその異動先のエリアの責任者になる。

「そんなもんすよ。いいことがあるのは不思議。思わしくない状況が当たり前の人生でしょ?」

こともなげに俺は答えた。

変化変化の毎日に、いちいいち一喜一憂していたら疲れて身が持たない。し、変化の先にある何かを楽しみにしている自分もいる。

「しかし・・・」

と俺は一人考え込む。

「てことは、あの子が俺の補佐ということになるんか」

最近アルバイトから社員になった女の子。

御年18歳。

つい最近までJKだったわけだ。

社会人一年生。

そのひな鳥のような存在が俺の補佐。

最近昼間はずっと二人で過ごしてきたから色々と教え込んではきたが。

接客態度はすこぶる良く、お客からお褒めの言葉も届いている。年配受けが特によい。ちょい太めだが、それがかえって相手に安心感を与えている。

学習能力も高く、実行力もある。一度教えれば次からは何も言わずに実行に移れる。

ので、ついこちらの要求度もあがる。しかし、そうはいってもつい最近まで高校生だったのだ。それに、もし最速で結婚していれば、娘といってもおかしくないその存在。

どう接すれば・・・、いや、過去の経験が生きるじゃないか!

思えば一年前、前の職場の19歳のスタッフと二人で飲み行ったりカラオケ行ったりと仲良くしていたわけで。

接し方に多少の失敗もあったが・・・。

その時の経験が間違いなく活きる。

色々なことに配慮していけるだろう。

相手は、子供なのだ。

先日の会議で社長はこんなことを言っていた。

※「いつも冗談ばっかり言ってるつもりですが、心に余裕がないとき、ついスタッフへの言葉に冷たさが伴ってしまうときがあります。社長はそんな時、どうコントロールされてましたか?私は一応、後で「いつも冗談ばっか言って笑わせていたいけど、店長業務ってのはいろいろあってだな、余裕がないときも多々あるのよ。何も、憎くて言ってるわけじゃないから理解してくれ」とフォローはしています」との発言を受けて。

「今、きくりんから精神的にタフさが要求される時のスタッフへの接し方についての相談がありました。きくりんのその接し方、言い方ができるのなら、大人の対応で問題ないと思いますよ。仕事上のパートナー。大事にしましょう。私も昔は、裏に呼び出して怒鳴るとかひっぱたくとか、ありました。けど、失って初めて気づくんですね。その存在の大切さに。」

そういわれて、まじまじと思った。「仕事上のパートナー、うん、大切にしよう。10代という若さゆえの拙さにイラッと来ることもあり、今までつい厳しめに当たってしまっていたけど、彼女はふてくされずに良くついてきてくれた。彼女がいなければ今回の1位の結果はなかったわけだし、これからはもっと彼女の心を楽しませてやろう」と。

そんなことを反芻しているうちに、社長から「男子総オネェ化計画」の進捗(どうも俺が責任者らしい)について質問があり、例えば俺がオネェ店員をやるならこんな感じというのを何パターンか披露、そのあまりの下品さに途中相方からP音とともに(笑)静止が入るという一幕をもって会議は終了した。

はたして誘ったのは爆笑か引き笑いか・・・


会議における笑いネタの披露、これも俺の大きな勝負の一つ。