例えばバイオリンを上手な人が弾くと、倍音がたくさん出ます。



以前も書きました。



基準音が400Hzだとすると2次は800Hz、3次は1200Hzだと説明上簡易的(いいかげん)に言って来ました。



でも実際にはそんな単純ではありません。



400Hzから、800Hzの間にいくつか共振音があります。



それも弾き手によって周波数は変わります。



それを解説するのは複雑なので、厄介なのです。



例えば、ホームページにもある良く出てくる僕の円筒形インシュレーターKaNaDe01underで、考えてみましょう。



円筒形のモノは、厚み方向にだけ曲がるので共振が出ます。



何度も説明しました。



一般の円筒形の厚さ方向の運動方程式は、


d2u/dt2 + Eh2/12ρ(1-ν2)▽4u = 0


ωで振動すると、


式を途中省略し、


周波数fは、


f = ω/2π = 1/2πhk2√E/12ρ(1-ν2)


となります。



(物理って、決まりきったモノをギリシャ文字で書くんですよね)



ここから厄介なのは、インシュレーターは接着されていないこと。



もし、外周が固定されていたら、


固有値を1とすると、2次は2.081、3次は3.414、4次は3.893、、、となります。



一方で、インシュレーターをネジで中心を固定すると、


2次は1.729、3次は2.348、4次は3.906、、、と変わります。



1次が100Hzだとすると、2次は173Hz、3次は235Hz、、が共振周波数になるということ。



とは言っても、ネジで止めた程度では接着ほど強固に固定されないので、実際の共振周波数はFFTで計測してみないとわからないのです。(スマホやパソコンの簡易FFTではダメ。何百万円するスレッショルド値の細かい計測用のFFTで。)




(それにこれは、単一金属などの線形挙動を示す無機物の話。



KaNaDeのように有機物を含む複合材料の場合は、非線形非定常の動きをしますから、手計算では無理です。)



理論計算は、3次元のFEM固有値解析で求めるのが正確です。(信頼のおけるFEMソフトは4000万円しますし、パソコンのメモリーが1回の計算に1TBくらい必要ですからパソコンも高価)



話を戻しますが、バイオリンの作りでだいたいの共振周波数は決まりますが、弾く人によっても変わるのは、弾く強さによって両端の固定点が微妙にズレて変わるからだと考えられます。



説明が難しい。



またそういうのわかっててインシュレーター設計してるメーカーっているのか?