ある方から弊社への見積もり依頼。


「写真のようなインシュレーターをアルミで作って頂きたい、塗装は金色に。」


と白黒写真を頂きました。



"側面の3本ラインは線を書いただけですね?"


「はい。」


"それで、必要個数は? 1個ですと高額になりますよ。"


「何個くらいが適正ですか?」


"社長に聞きましたら、100個くらいでどうでしょうと。"


「はい、それで見積もりお願いします。」


ということで、弊社の本業部門で見積もりを取りました。


作業工程を説明します。


①まず、図面を起こします。


②次にコンピュータCADで、図面を3Dの図に作図します。


こんな感じという例です。





1日作業です。

(この1日の金額が高いですので、生産委託数が多いほど、金額が安くなるわけです。)



③マシニングセンターにアルミのブロックをセットし、CADの座標を入力して自動で加工します。

(1個の加工が15分くらいだそう。)


④塗装は、アルミなので塗装ではなく金色アルマイト処理を外注します。

(外注費が発生します。)



"はい、見積もりが出ました、20万円になるそうです。"


「そうですか、100個で2,000万円ということですね」


"、、、そんなに頂いちゃって宜しいのですか?

100個の見積もりが20万円なのですが。"


「え? うそ? 1個当たり2千円ですか???」


"はい、作業時間が15分だからだそうです。

3つの線が分かれているともっと高くなってしまうそうですが、線だけなら2,000円で大丈夫だそうです。"


「それは原価ではなく、御社の利益は含まれているのでしょうか?」


"もちろん入っています。

原価はもっと安いです。

もちろん拳大のアルミのブロックは1つ100円くらいで。

KaNaDeの様な粉末原料の海外からの取寄せに、混合や成型工程からやる訳ではありませんから。

金属やプラスチック単一の材料の塊は流通が多く、安いです。"


「ありがとうございます。

今回はあくまでも、原価を知りたかったので。

改めて検討させてください。」


"わかりました。

あと、この写真ですとわかりづらいのですが、表面が波打っているのは切削ドリルの跡が残っているものだと思います。

普通はこれを磨く工程を入れます。

そうすると、値段はかなり上がります、研摩には時間がかかるからです。

更に、普通、金属は面取りをしないと危ないのですが、この写真では面取りされていませんので、安い理由にもなってます。

面取りは別の機器または手作業でやらなくてはなりませんから。"


"また、うちもKaNaDeブランドで金属インシュレーターを出すわけには行きませんので。

本当に仕事を受けるかどうかは難しい判断です。

あくまでも、相場として情報提供させて頂きました。

それから、幾らで販売されるのかはこちらは知る必要はございませんが、加工屋はモノを見れば原価がわかりますので、あまりかけ離れた価格にされない方が宜しいとは思います。"



PS)

話は変わりますが、エルメスが世界一のファッションブランドである理由は、素材と作り(耐久性)とデザインの全てに抜かりがないからだそうです。