ちょっと余談ですが、マメ知識。


外車、特にドイツ車のホイール汚れのメカニズムをちゃんとご存じの方いらっしゃいますか?




ディーラーさんでも中々正確には知り得ないと思いますんで、解説させて頂きます。


せっかく長年パッド開発に携わっていましたので、お教えしますね。


ホイールにくっついてしまったのは鉄粉です。


高速でおよそ150km/h以上を常時出してブレーキを掛ける可能性がある車の摩擦材の配合には、補強のために必ず鉄の繊維が使われます。


ブレーキングでパッドの摩擦面が超高温になるからで、1,000℃以上の耐熱性が高い補強繊維が鉄繊維しかないからです。


摩擦面から摩耗した粉の中に含まれる鉄粉が飛び、ホイールに焼き付くのです。


焼き付くのですから、拭いても取れないわけです。


鉄-アルミ合金になってしまうわけですから。


でも、先日ご紹介した中大型車のパッドは焼き付きません。


素材の違いもさながら、何故なら鉄のホイールだからです。


つまり、乗用車のホイールはほとんどアルミ製なので融点(溶けて液体化してしまう温度)が660℃と低いために、1,000℃?で摩耗した鉄粉がアルミに焼き付いて取れなくなるのです。


また、鉄粉は空気の酸素中で加熱されるため、茶色の水酸化鉄となって貼り付くので、ホイールが汚らしくなるのです。


対策は、鉄のホイールを履くしかありません。


次に、補足として摩擦材事情です。


ベンツやアウディやVWのパッドは、NBKのグループ会社であるドイツのTMDフリクション社が提供していますので、ノンスチールパッドがほしいと言えば、日本製を補給パーツとして持っていますので、お金を出せば在庫品から交換できます。


しかし、先報のように、残念ながらBMWはドイツの別の会社からしか提供されませんので、ご愁傷様です。


鉄のホイールを履くしかありません。


あと、これも豆知識ですが、日本製のパッドは中大型以外は、鉄繊維を使いません。


使わなくても耐熱性を高くする複合材の配合技術を研究していて、数多くの特許を出しています。


そして、鉄繊維を使いたくなかった一番の理由は、ブレーキ鳴きです。


日本人は特に音にうるさいですから。


これも余談ですが、ならば心地よい音なら鳴いても良いのか?


ブレーキを掛けると、キャイ〜ン キャイ〜ン と犬🐕がしっぽ踏まれたときの鳴き声で鳴く摩擦材が偶然出来ましたが、すぐにNGとなったことは言うまでもありません。



奏KaNaDe/複合材料ノートのmy Pick