今日は、禁断の聖域に少し触れて行きます。

複合材は、ただ色々な原材料を秤で計量すれば良いわけではありません。

測る順番を考えなければなりません。

静電気の影響で計量値が狂うからです。



静電気は、物の表面の電荷の動き。

相対湿度に反比例しますのは何度も記載のこと。

測定や測定機の誤差に加え、静電気は時間軸で指数関数で減りますので、素早い測定が望まれます。

また、何回か測定して平均的な値を載せましょう。


では、まず計量場所の相対湿度。


25%とかなり低いです。

暖房を入れているからですね。

ちなみに、工場の暖房はエアコンと薪ストーブです。

灯油ストーブは使いません。

ガスでワイヤーが腐食して切れてしまうからです。


すぐ脱線してしまいます。

樹脂を低湿保管庫から出します。


中の方が湿度が高いくらいです。

あまり低いのも危ないので、ちょうどです。

単体粉体は粒子が細かくなるほど、相対湿度静電気で爆発します。

どこかにいってしまいましたが、"爆発"という本があります。

こういう本を読んでおかないで、可燃性の粉(マグネシウム、鉄)などを湿度20%以下に乾燥した日に安易に家に持ち込むと、仕事から帰ったら家が吹っ飛んでいた、なんてことになりかねません。

ダイナマイト並みに爆発しますんで。

素人が仮想アースだなんてうかつに持ち込むより、市販されている素性の知れた完成品を買った方が無難です。

カメラの保管庫で30-50%に管理すれば化学反応も殆どなく、安全に管理出来ます。

またそれてしまいました。


では、湿度調整保管庫から取り出したオリジナルの高ダンピング性ハイブリッド樹脂を計量し、静電気を測ります。




上の方の量の多い部分が高いです。

高い値では-3kVもありました。

これを袋にあけますと、


これです、トレイにくっついてしまうのです。

軽量器の目盛りは0ですが、2g単位なのでたぶん1gくらい残っています。

風袋をリセットして0にします。

もちろん、静電気のせいだけではなく、安息角の違いもありますが。

ですので、次に計量する原材料に知恵が必要なのです。

次に計量するのは、先の樹脂と同程度に逆の電荷を帯びる無機原料を計量すれば良いのです。




どうでしょう、静電気が打ち消されました。

(あまり何箇所も測っても意味はありません。)

証拠はこれです。

袋に移します。


トレイは拭かなくても綺麗です。

これで計量誤差も最小化されました。

こんな原料を見せていいのかとなりますが、素材の特許を登録してありますので。

まあ真似されても、私が化学分析のプロですから、すぐに分析センターで分析し、ものいいをつけます。


次の原料は、最強の帯電原料です。


お見せ出来ませんが、-16kVにもなる原材料もあるんです。

流石に触るとビリっときます。

擦るもので、+-が変わってしまうことはお話しました。

でもおおよそ、有機物は-に、無機物は+になりやすいのです。

もちろん、上のように程度は違います。

有機物の中でも分子量が高くなるほど、つまり高分子ほど、摩擦による静電気が高くなります。

沢山の分子がミクロに動くからです。

逆に無機物の方は分子結合がしっかりしていますので、あまり帯電率は高くなるものはありません。

ですので、打ち消し合う有機材と無機材を交互に計量するのが良いです。


では、混合機で混合します。



混合し終わったものは、ほとんど静電気はありません、複合材は上手く出来ているものです。

0.1kVはCDの場合でもほとんど音の変化がわからない程度の閾値です。

配合のワザですね。