シンクロが続くので「書け」ってメッセージだと解釈して書くことにしましたが
まー、アレですよ。
また小説やファンタジーだと思っていただければこれ幸いです。
~~~~~~~~~~~~~~~~
最初に見えたのは自分の衣服の袖だった。
赤くて広い袖口には金色の複雑な模様が縫われている。
私は両手を揃えてひれ伏していた。
何にひれ伏している?
そっと顔を上げると、雛人形の9段飾りの実写版のような、大きな階段が上に続いていた。
その最上部には、本当に雛人形のように男女が座っていた。
雛人形は夫婦だが
この男女はそうではない。
…大王と、巫女?
紫の衣装をまとうその女性の袖には、私と同じ金の刺繍があった。
そして走馬燈が回り出す。
私はこの過去世を知っている!
あのときと、同じ時代だ!
私は若い大王の専属巫女となり、巫女でありながら策略家として様々な案件を乗り越えていった。
自分がとった策略の幾つかも詳細に覚えている。
私は巫女として相似形やシンボルを巧みに使った以外に、人の心理を読み解き集団を操り策を講じるのが得意だった。
巫女らしからぬその能力を師匠は嫌ったけれど、生まれ持った帝王学がレムリアで培われたものであることを見抜いていた。
私の帝王学は次期大王となる若君に役立つだろうとの算段で、選抜5人の巫女の1人として師匠は私を王宮へ連れて行ったのだ。
まさか、若君が私のみを専属巫女に指名するとは思ってもいなかった。
私の戦略的な才能を若君はひどく気に入ったのだ。
大王に正妻はおらず(制度として)、多くの妾が産んだ子の中から王の巫女たちが選んだ若者が次期大王となる。
大王といっても県知事のようなもので、数人の大王と数人の巫女たちが意見をまとめながら政策を決めてゆく。
巫女は気が狂いやすく、1人の巫女の言うことを聞くのは危険であるため、5~6人に占わせるのが常だった。
私が専属巫女となるのは異例の事態だったが
若君は断固として他を認めず
私は私で強い信頼が嬉しく、やる気に満ちていた。
引退した大王と私の師匠である紫の巫女は
隠居したお社へ、私が逐一報告をしにゆくことを条件に専属巫女を認めた。
私が報告する若君の政策や無謀とも言える挑戦に隠居の2人は苦言ばかりだったが
私はできる限り若君の望み通りの政策をとらせてやりたくて
この2人の反対意見にすかさず対策を考え論じ、
2人をどうにか安心させようと言葉を選び、
頭はいつもフル回転だった。
私は厳しいこの人たちが好きだった。
否定的意見の奥にあるのは打算や高慢さではなく
本気で若君と国の民を案じる優しさと愛情だったからだ。
紫の巫女は王宮の人間に疲れきっていた。
大王たちにも陰のいざこざがある。
リーダー格で信頼の厚かった紫の巫女に、
自分に都合のよい意見を言えと賄賂を渡す大王もいた。
紫の巫女が引退を相談した懇意の大王は慌ててそれを止めたが、日に日に憔悴してゆく紫の巫女を見ていられなくなった。
2人の長年の信頼関係は深い友情となっていた。
大王は条件を出した。
「跡継ぎとなる巫女を育てよ。育つまでは引退は待て。」
紫の巫女も条件を返した。
「では巫女を育てるためのお社を指定の場所に建て、全国から才能ある子供をお集めください。」
6-12才ほどの女の子ばかりが20名ほど集められた。
私はその1人だった。
つづく。