2008-10-20横濱俳句倶楽部ほのぼのとから
蓑虫鳴くは
『虫は 鈴虫。ひぐらし。蝶(てふ)。
松虫。きりぎりす。
はたおり。われから。ひを虫。螢。
蓑(みの)虫
いとあはれなり。
鬼の生みたりければ、親に似て、これも恐ろしき心あらむとて
親の、あやしき衣ひき着せて、今、秋風吹かむをりぞ来むとする。
待てよと言ひ置きて逃げて去(い)にけるも知らず、風の音を聞き知りて、八月(はづき)ばかりになれば、ちちよ、ちちよとはかなげに鳴く、いみじうあはれなり。』
と、枕草子41段にある、蓑虫が鳴くという表現からきた季語です。
俳句の季語には他にも
螻蛄鳴く 蚯蚓鳴く、地虫鳴く、果ては亀鳴く
という表現があります。
蓑虫の正体は蛾の幼虫ですから
鳴くなどということは無いのですが、
木の葉の落ちた肌寒い木の枝に
揺れる蓑虫の様子がうそ寒く
また、孤独に満ちていて、親の無い子への憐憫を誘ったのでは
なかろうかと、私は思います。
芭蕉はそんな蓑虫に我が身の孤独を寄せて
蓑虫の音聞きに来よ草の庵
と詠んでいます。
そのようなわけで、蓑虫に関する季語は
鬼の子 鬼の捨て子、みなし子、親無し子、などがあります。
また、木の枝で蓑を作るので、樵(きこり)虫 という季語も有ります。
因みに
われから
は
海人の刈る藻にすむ虫の音をこそ鳴かめ世を恨みまじ として、
藻にすむ虫、一説に小海老ではないかといわれているそうです。
子ども達が幼い頃、蓑を取り去った蓑蛾の幼虫を、色とりどりの毛糸を切った中に入れておくと、一晩でとても美しい織物を作っていたということがありましたけど、
最近は蓑虫自体を見かけることが珍しいという、ちと寂しい時代になりました。
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蓑虫について、絶滅危惧種と知った時に、着ている簑を無理矢理脱がせて、箱に閉じ込め、毛糸や紙で派手な簑を織らせたからだろうかと、密かに後悔していたが、最近、
オオミノガヤドリバエという外来種のハエが西日本を中心に増えたため、というのを知り、簑を織らせていたのも、オオミノガという娥だということを知った
このオオミノガヤドカリバエは元々インドやベトナムに生息していたものを中国でオオミノガを退治させる為に大量に孵化させ、日本に渡って来たものとされ、日本では1996年に福岡県で初めて確認されたそうだ
徳島県、宮崎県で絶滅危惧Ⅰ類(EN)
神奈川県、山口県、福岡県で絶滅危惧Ⅱ類と指定されている
のだそう
環境省の、所謂レッドリストとされる
絶滅危惧IA類(CR: Critically Endangered): ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い。 絶滅危惧IB類(EN: Endangered): IA類ほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い。 ということなのだとか
何かを無くす為に何かを増産する
この言葉で東日本大震災の前の年に夫の実家福島に帰るときに通りかかった車窓から、切り崩された広大な山肌が見えて、当時の政府が電力を太陽光発電に求めるために大量のパネルを設置するという話を聞き、この政府は確か自然破壊を防ぐためにダム建設を中止するとしていたのに、と、切り崩された山肌を複雑な思いで見ていたのを思い出した
消費税のこともそうだが
たとえ政権が変わろうと閣議さえ通過すればそれは法律で定められたことであり、実行されるのだが
当の政党は名前を変えて、その結果に責任を取ることもない様子
正しいことをしたと思うなら、決定した事項に関する成果について検証し、報じれば良いと思う
そして不具合があれば時の政府に訂正を求めて初めて国民のための政治だと思う
自国のオオミノガを退治させるために大量に孵化させた虫が、他国の生き物の生態系まで脅かす
虫に関しては空を飛んだり、海を泳いだりして来るわけは無く、荷物に付着して入ってきたのだろうから、水際でも充分防げると思うのだけど