2003/05/09 (Fri)横濱俳句倶楽部の文章から
我が家のお隣は検事さんの土地
ということだそうだが今はどなたかがそれを借りて、畑を作っている。
しかし、何処からお見えになるのか、あまりお出でになれないようで
畑の作物が実るのと、雑草が茂るのと、どちらが先か
という状況が何年か続いて、とうとう、今年の連休には、完全降伏されたようだ。
春紫苑、姫紫苑、踊子草、仏の座の群生する中に
耕されていた方の、努力の名残のようにチューリップの花や
ムスカリなどが色を添えていた。
そして、昨日あたりから、お隣の土地を縦に横切って植えられた文目が咲きだした。
この花が満開になると、まるで深い川が一筋流れているような風情になる。
牧野富太郎氏の書かれた、牧野新日本植物図鑑によるとあやめは文目の意味で
その葉が並列して立っているところから美しいあやがあると考えての名
というそうだ。
アヤメは、その昔、朝廷にやってきた中国の女性の目化粧の色に似ているとして
彼女達がお節句にアヤメを供えたことから、
漢女、が転じた、という説があるそうだが、確かに、中国の女性の目のお化粧は
アヤメの、その色に似ている。
ただし、どちらかというと、ジャーマンアイリス(独逸菖蒲)の方だが。
いずれにしても
雑草にすっかり覆われたお隣の畑のアヤメを見ることが出来るのは
二階から見下ろすことの出来る、我が家と
空き地を挟んで反対側のお宅だけのようだ。
随分と贅沢なお花見をさせて貰っている。
あと数日で紺碧の空のような花が満開になると思うと、とても楽しみだ。
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久しぶりにこの文章を読み返し、濃い紫の美しい川の流れのような菖蒲が
懐かしくなった
残念なことにその川は我が家が転居するより早く、土地の持ち主が代わり
家が建ってしまったので、今はどこにも存在しない
だからこそ一層美しく思えるのかもしれない