鷽 | ミナミのブログ

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のんびり、、まったり

鶯と間違えそうだが、ウソ、と読む

折れた煙草の吸殻で分かる嘘ではなく鳥の名前

 

その昔太宰府に流された菅原道真が蜂に襲われた際、鷽の大群が現れて

蜂を退治したことに由来する神事だそう

鷽の形をした木偶を持っていき

新しい鷽の木偶を貰うことで吉兆にすることであり

去年吐いた嘘を無いことにして貰えることではないらしい

 

関東でも天神様を祀る神社で行われているとか

 

人間は何かを隠そうとしたとき、嘘を吐く

その嘘が見抜かれそうになると、もっと大きな広大な嘘を吐き

結局自分の身を滅ぼすことになる

 

夫の会社は、取引先に金融庁からの業務停止命令が下り

予定し既に材料費を支払った現場がなくなり

取引先の銀行の方とも相談し、家の売却を済ませて

銀行からの借り入れと、手形の買戻しを済ませて事業を縮小し

再生するということになった

その間に夫はモンゴルに長期に行くことになり

そのために一旦会社と役員の身柄を弁護士に預けることに

こうすれば代表取締役が不在でも、会社の再生を進めることが出来る

 

会社を経営している以上、いつ何があるか分からないので

ローンを組んでマンションを買っていたが

再生に当たり、元々の役員に迷惑をかけてはと

夫が私と息子を役員にしたので

万が一のことを考えて

銀行からマンションの名義を変更したほうが良いとの申し出を頂き

本店の承諾を得たということと

弁護士がおられるのだから心配しなくても年明けに処理できます

そうお話を頂いた

 

年の瀬のうちに従業員全てを同業者にお願いし、取引先には

会社の事情をお話しして

新規の見積もりは全て同業者に依頼して貰えるよう頼んだ

 

残りの借り入れは公的資金 それも保証協会に保証料を支払ってあるので

倒産すれば返済義務も無くなる上に公的な倒産防止保険にも加入してあった

 

年が明けて、松が明ける7日の朝 

銀行の方から緊急の声で電話を頂いた

 

弁護士の逮捕 名前を出さなくてもご存じの方がいるかもしれない

それほどに大きな事件に関わっていたのだ

 

目の前に実印は有るのに、捺すことが出来ない

結局、会社も、マンションも、私達の身柄も、破産という形になった

その破産の手続きさえ、弁護士との連絡が不能になり、半年の歳月を有した

 

弁護士を相手に訴訟を起こすべきか、迷った

何故なら、別に上場しているわけではない

夫が一代で築いた会社

それを守るために、その道のプロと闘う

それも何年先に決着を得るかも分からない

 

それでも毎日、1日に10数回連絡を入れて、半年近くして漸く電話が有った

その時は既に破産するという選択肢しか残っていなかった

 

当人は、心臓を悪くして入院していた、と話していた

 

私はその弁護士に代わる弁護士の紹介をしてもらうことと

破産手続きに関する弁護士の代金はこちらでは一切支払わないという念書を交わした

 

全てが終わって、法務局に行くと、会社自体は無くなるわけではない

ということと、還付金があるということを告げられた

 

その後、弁護士は再び新聞の一面に名前が載り、メディアで大きく報じられ

資格を失くしたようだ

 

経歴を見ると、

国に関する事案にも携わり、人権についての裁判にも勝利していた

取引先の銀行の支店長も、この弁護士さんであれば安心していて大丈夫と

そう言っていた

 

彼は、頼まれて断れなかったのか、欲で行ったのか

弁護士として触れてはいけない分野で嘘を吐いた

だから、私達に対しても嘘を吐き続けている

 

何度も繰り返し連絡を入れている時点で

本当のことを話してくれていれば

弁護士を変更するための手続きをして貰っていれば

 

当然、私達は今も会社を続けていたことだろうし

銀行の方もペナルティーを受けることも無かっただろうし

その弁護士を夫に紹介した方も

人生の最終地点で夫との会話が出来なくなることも無かっただろうに

 

その嘘に嘘を重ねて、出た言葉が、心臓を悪くしていて入院していました、と

 

弁護士なら稼ぐのも難しく無いだろう金額で名誉を売ることになり

本来なら関わりそうもないくらい小さな会社の経営者にまで嘘を吐くようになり

 

自分が吐いた嘘のために、私達だけではない、銀行の方にも

従業員やその家族にも、無論私達親子にも、多大な迷惑をかけ

 

何よりも、その当人がそれまでの業績さえも意味の無いものにしてしまった

 

債権者から債務者を思って罵倒されたのは弁護士をしていて初めてのこと

と、そう話す当の弁護士を見ながら

嘘を吐くということの重大さを果たして彼はどう感じているのか

最初から全て嘘により創られた功績ではと思えた

 

どこかで、一番最初の時点で、嘘を吐きさえしなければ

とても優秀と地方銀行の幹部にまで名前を知られていた人が

自分が関わることも無かったであろう、小さな会社のおかみさんから

軽蔑と憐れみの目など向けられることも無かっただろうに

 

嘘みたいな話だが、会社を解散させた丁度その頃、世の中は

箱より人という政治に変わり、新しい現場が一切なくなり

多くの同業者が廃業を余儀なくされて行ったが、

夫が何よりも心配をしていた、預かって貰った従業員達には

継続的に仕事があるという連絡を貰らったので、

なまじ会社を再生するよりは無くなってしまったほうが良い結果になったようだ