吹くからに秋の草木のしをるれば
むべ山風を嵐といふらむ
昨夜遅くから風雨が強く、庭からはいろいろと不穏当な音が聞こえ
午後になると室温が二十五度を超えていて 風は一層強くなり
鬱々とした気分で過ごしていたら
姪から届いたメールに
色々なことを吹き飛ばしてくれそうな嫌いじゃないお天気です。
とあって、成程、と。
ブルーラインの上永谷の駅の駅前にマンションが建つ前に
とても背の高い木が数本あって強い風が吹いた日には落ち葉で
足許が絨毯のようになっていた。
この駅の近くに姉妹で営んでいる小さなスナックが有り
本牧にいるころ、仕事を終えてから、駅の近くの友人を呼び出し、談笑し
タクシーで帰る彼女を見送り、駅への道を歩く時間がなんとも言えず孤独感に溢れていて。
あとから思えば家も店も無く
通勤時間も終わった人気のない地下鉄の駅までの道を一人で歩くのは相当危険な話
たぶん私の伸長とガタイの良さと黒いロングコートのお陰で
女性とは思われていなかったんではなかろうかと
。
息子の同級生のお母さんにバイクから降りてヘルメット姿で挨拶したら
後の懇談会の席で、今日は若い男の子に声をかけられたと喜ばれたことや
ゴルフに同伴した女性からバレンタインのチョコを貰ったことなどを
考えても、たぶんそうだと思う。
兎にも角にもそのおかげで私はほんの数分の
フランスのマロニエの並木道はこんな風ではというイメージと
イブモンタンのAutumn leavesに浸りながら帰宅すると
目が冴えて、結局朝まで仕事をする羽目になる
風と言えば、知り合いのヨットに乗せてもらい
三浦沖を航行するために油壷のハーバーを出て少しすると
エンジントラブルを起こしたから帆で三崎港に着岸する、と。
外湾に出て間もなくだから、港は目と鼻の先なのに
風は沖に向かっていてうねりに翻弄されるばかりで
。
私の父は外洋船の船長だったと。時に嵐に巻き込まれても簡単には沈まない、と。
しかし怖いものは怖かった。
午前中に港を出て小一時間でトラブルが起き着岸したのは夕方近く。
嘗て夫の船で沖に出た時出会ったシナーラという帆船は
帆に一杯風を受けて、船を傾けて航行していたので
風がちゃんと吹いていればそれほどのことは無かったのだと思うが
私は帆を張るヨットには二度と乗る気はない。