新杉田から金沢八景までのシーサイドラインに乗って釜利谷動物園の方を見ると富士山が見える。
自宅自営の社長の妻として35年ずっと外に出ること無く働いて、諸々のことで仕事が無くなり、自宅に居たとき、当時住んでいた近所の人にまだ歳でも無いのに自宅に居ては行けないと、仕事を紹介されて、ご近所のお店にパートに出かけた。
私が最初に就いた仕事は高校教師から紹介されたメディア向けの業界誌の出版社。
そのつぎは輸出入の代理店。
そして夫の会社の事務
いずれもデスクワークで
紹介された仕事は体力勝負。
取引先ではない多くの人に応対し、時には理不尽な言葉にめげそうになったりする。
別に生活に困るわけでも無いのだから、辞めてしまおう。
そう思って休みの日に少し遠い公園に行き、ベンチに腰かけて顔を上げると、一面の青の中に富士山が見えた。
空の青さと富士山の美しさに感動して、そういえば今まで空の青さに感動、どころかゆっくりと見上げることもなかったと、そう思って、そうか、毎日頑張って働いているから、この空の色に感動出来るのかと納得した。
そして私はその街でいつ会ってもニコニコと会話する仕事仲間からの友達を見つけた。富士山は肉眼で見た方が美しいことも知った。
