
紐育と巴里の間の大西洋無着陸横断飛行に成功した人。
1986年1月、目前の家族を悲しみの淵に追いやったスペースシャトル。
昭和41年の今日、羽田の飛行場で待つ人々が同じ思いで羽田沖を見つめていたことだろう。
逆噴射という言葉と、脆く壊れた飛行機と。
走り始めた機体がやがて空に向かっていく。
まるで樹氷のような雲の柱をすり抜けながら、目的地に向かう。
遠くにその国の輪郭が見え、走路が見えてきて、機体が緊張していくのが伝わる。
ほんの瞬間、釣の、中り、のようなショックを感じ、飛行機はランディングする。
それはまるで当たり前のことのように。
そんな繰り返しの中で、人は取り返しのつかないミスをする。
逆噴射させた機長は、救出のボートに乗ってあらぬ方を見ていた。
しかし、原因は不明のままに終わったという。
この年、これを含めて、五回の飛行機事故が起きている。そして、四百名近くの犠牲を出している。
リンドバーグは、このフライトの後に、有名人が故に、我が子を誘拐され、殺されてしまうのです。
アメリカでは、州を越えて誘拐事件を解決するために、リンドバーグ法というものを設けたそうです。
何故人はミスをするのか、人も、物も、消耗する、ということを忘れてはならないと思う。
機械は、人が検査して初めて、改善される。
しかし、人は人であるのだから、そして、唯一、言葉という伝達法を持ちえているのだから、
消耗する前に、自分自身から、声に出して、助けて、と伝えて欲しいと思う。