家のドアを開いて、外に出るたびに、緑の色が濃くなっていく今日この頃、
思い出すのは、横浜文化体育館で行われた、明治大学のマンドリンコンサート。
多分、あれは、祖父が早稲田の生徒だったから、そんなわけで、
我が家の年中行事のひとつになっていたんだと思う。
もしかすると、単に子ども会の行事だったのかも。
横浜文化体育館の床に、台を作り、その上に滑り止めのマットを敷いて、折りたたみ椅子を並べた会場。
学生服を着たお兄さんたちの奏でるマンドリンの音の美しさには、幼い子どもたちさえも、
水を打ったように、静かに聴き惚れたものでした。
コンサートには、結婚してからも数年、母に伴って行ったけれど、
ある年、ゲストとしてこられた一人の歌手の失態で興ざめして以来、なんとなく足が遠のいて、
気が付けば、今は文化体育館では催されていないことを知った。
失態を演じたのは、かつて、わが国の皇太子から、薔薇の花を贈られた女性。
歌いだしを間違え、箸が転んでもおかしいお年頃だったのか、
笑い出してしまって歌えなくなってしまったこと。
なんというか、人にはそれぞれ好みがあるのだろうけれど、
子どもの頃から一つの価値観を持って見ていた世界が、全く違う次元に入ってしまったような…。
蓼喰う虫も好き好き、、というか、こんな表現ではなく、、まあ、有り体にいえば、不愉快だったわけで。
明治大学、マンドリン、で検索すると、今でもコンサートをやっていて、
今は、文化体育館より、(たぶん少しだけ)ましな場所で、
折りたたみの椅子なんかでなく、ライトだって手動でなく、演奏されたようで。
そればかりでなく、色々なところでも、演奏会を行なっている。
でも、うっかり聴きに行ったりすると、いろんなことが思い出されて、泣きそうになるから、行かないで、
ずっと昔に買ったテープを聴きながら、午後の紅茶を楽しむことにしよっと。
あの女の子が笑い転げたことだって、今となれば懐かしい思い出だもの。