2012.9.30 17:00公演。
シアタークリエ。
ミュージカル「デュエット」They're playing our Song
演出:錦織一清
脚本:ニール・サイモン 作曲:マービン・ハムリッシュ
出演:内博貴 和音美桜
初クリエ!
いつも行きたいと思う公演はすぐ完売するし
少ししか興味のない演目はチケット代が高めの設定なので
気軽には行かない、ということでクリエには縁がなかった。
四季でいうと自由劇場を少しコンパクトにした感じで
ステージが近い。
たっちんだから歌は安心できるだろう・・と思ったのと
内君もたっちんも台詞の量について大変そうだったので
どんな出来映えに仕上げたのか見たくなった。
基本、ゴージャスでダンス多用の舞台が好きなので
こういうがっつり芝居が入ったのは飽きないか心配
だったけれど、けっこう夢中になって観劇できた。
宝塚以外でのお芝居多めに飽きなかったのは久しぶり。
内君のイメージは関西人らしく冗談とか言う割には
いつも寝不足顔というか神経質で陰気な雰囲気であり
よくいえばミステリアスな顔をしているけれど
今回、役柄にぴったりであった。
ミュージカル・ファンとして昨今のミュージカル業界では
井上芳雄、田代まりおあたりが王子様できる主演級という
雰囲気があるけれど
井上芳雄の強力なライバルには、内博貴だなと思った。
陰気だけれども「華」に関して言えば四季の阿久津さん
クラスの容姿や存在感がある。芸大卒に対抗する気はないが
ミュージカル歌唱レベルでは歌だって悪くない。
ダンスも芳雄より踊れるだろう。
内が、こんなに主演級が映えるとは思わなかった。
素材はいいのに「SHOCK」ではどことなくいっぱいいっぱい
な感じがあったので、力量がまだちょっとアレだな・・と思ったけれど
(光一さんが素晴らしくドンとした力量のある座長だったという対比もあるかもしれないが)
これだけ顔そのものと華、存在感、身長、歌、ダンスがバランス良く
揃ってる役者はミュージカル界には貴重。
歌やダンスそれぞれの技巧者はいても、そこに
「顔」「存在感」「身長」の3拍子を求めると人材難。
今回、内博貴にこれからのミュージカル界を面白くしてもらえるのではないかと
可能性を感じましたね。
「ジャニーズ」というブランドが存在感の一角を担っていることは否めないけれど
ぜひ、「ジャニーズ」の枠をぐいぐい超えた活動を期待したいと思う。
技術的な面でいうと、内君ちょっと汗かきすぎ。
体質的なものなのか、緊張なのかわからないけど
尋常じゃない汗の量。
ぜひジェンヌさんに顔に汗をかかないコツを聞いてやってみてほしい。
紐で縛れば少しは止まるんじゃないか?
ダンスがしがしで汗かいてる姿とか、そういうの好きなんだけど
ちょっと内君は踊る前から(そもそもダンスそんなに多くないし)
どっぷりと顔・頭の汗がかなりすごい。
もうちょっと余裕を持てるようになれば治るのかな。
正直、お芝居上必要のない汗をかきすぎ。
全体的に良かったと思うけど、内君けっこう話し声が高いので
まくしたてるだけではなく
台詞の「ため」というか緩急を少し持てるともっと良くなるんじゃないかと思う。
たっちんは、まあ、さすがというか。
歌の安定感も、お芝居も、安心して見れる。
台詞も役作りもしっかりしてた。
ソニアの可愛げがない性格とかオバハンぽい
ところとか、さすがによく演じてた。
たっちんって目のあたりが平山あやと似てる。
ソニアって、一言で言えばうざいんだけど
そのパワーで押し切る部分があるというか
だんだんその破天荒に見えるようでいて
「人をほっとけない」という優しさも、彼女の魅力の
ひとつであり、それにヴァーノンもいつしか惹かれて
しまうのだろうけれど、たっちん演じるソニアには
ちょっとその「惚れてまうやろ」の部分がわからなかった。
レオンを捨てきれないという母性のようなところが
ソニアのあたたかさであり、あけっぴろげで我が道を行く
ところが彼女の良さなのだろうけど
べつに惚れないだろ・・と思ってしまうのはなぜか。
たっちんは上手い。ソニアのそのアレな性格が上手すぎた。
なんだろう「可愛いところもあるじゃん」ってあまり思えなかったw
のも率直な感想。
いや、ほんとにたっちんのこと一目置いてるしいい役者だと
思ってるんだけど
「なんでヴァーノン内様がソニアたっちんに惚れるの?」
って部分がぬぐえなかった。
四季の加藤さんあたりがヴァーノンだったら、おそらく
そんなふうには感じなかったかもしれない。
内様がかっこよすぎるがゆえに、いくら変人ヴァーノンでも
ソニアにもキュンとくる部分がないと、なんかこう・・しっくりこない。
失礼ながら「レオン」とかいちいち出してくるのは
内様の気を引くための作戦か?
なんて邪推をしてしまうような構図に見えてしまった。
たっちん、ほんとごめんなさい。
物語中盤、涙を流しながら歌っているソニアたっちんに
もしかして内に本気で惚れてしまって泣いているのか・・・?
とつい思ってしまった。
というか、こんな密着してかけあい、キャスト少ない、
キスシーンたっぷり・・じゃ
惚れてまうやろ!
と個人的に思ってしまった。
内君が相手役じゃ、恋心止めるのが大変そう・・
もし自分がソニア役なら、内にハマりそう。
いっけん不機嫌そうで陰気臭いのに、話せば
笑いとってくるし・・
目を伏せた時のまつげの美しさとか
漏れるはにかみ笑顔とか、あーやばい。
好きになってはいけないのに、好きになってしまう
そんな自分に泣きたい感じかもしれない。
とか、勝手に思ってた。
たっちんの涙はそんなことを思わせるくらい、伝わってきた。
(たっちんが内にまったく惚れてないなら、本当にゴメンって感じだが)
本当にたっちんのこといい役者だと思っているけど
やっぱ
内ヴァーノンからたっちん演じるソニアにべた惚れってのが
ちょっとやっぱわかんない部分があったのも確か。
ソニアの奇天烈なキャラのほかに
惚れるべきポイントが弱い。
それだけ内がステキだってことなのか・・
陰気なのに・・
しかし
25歳すぎた内には、こういう役も用意されてるのかーと思ったのは
台詞に下ネタが多かった事。
「大人の恋」の話だから、けしてトウトツにぶっこんできてるわけではなく
いかにも翻訳ミュー的なウイットに富んだ(笑)使い方なのだが
ジャニタレに「セックス」って言わせたり
ちょっと正確な言い回しは忘れてしまったが
「俺のスカイツリーがビンビンだぜ」的なのとか
へーと思った。すみれコードならぬジャニコードも暗黙的にあるのかと
思っていたけれど、「大人なミュージカル」だからね。
ぜんぜん下品じゃないし、キスシーンも寝そべるシーンも
踊るときに背中でピアノ指するシーンも
品よくまとまっていたけれど。
これが平成の山田君なら会場中発狂、失神者続出だな・・wと思った。
それからキスシーンや触れるシーンがあるわりには
ねっとりしないのは、ジャニコードだからなのか?
もっとがっつりねっとりもしようと思えばできるのかもしれないけど
やっぱファンの気持ちを考えると、得策ではないのかな?
それだけに踊るシーンで背中ポロロン作曲が
抑制されたなかであるがゆえ「あ!!!!内君がたっちんを触ってる!!」
と、思ってしまったw
こういう芝居は、30歳すぎてても光一さんにはちょっと難しいかも。
「俺のスカイツリーが」は笑いとれるかもしれないけど
なんかこう女性を生々しくがっつりどうこうするってのは
あまりなじまない気がする。「みんなの王子様」を魅せる構成が
光一さんには適しているのは、持ち味か。
ジャニタレの中でもそれぞれの持ち味や好みというものも
あるけれど
「女とからむ作品に積極的に出てほしいタレント」と
「女とからむシーンは直視したくないタレント」
がいると思う。それはタレントとファン双方の年齢や
受け手側の思いによってもかわってくるのかもしれないけど
それ以前に「個性」が大きくかかわってきているような気がする。
テンポよくて、登場人物が少ないけど最後まで楽しめた。
空席けっこうあったように感じたけど
面白かったし、おすすめできる作品&キャスト。
二人芝居だからつまんなそう、に見えるかもしれないけど
そんなことはない。
ほんと飽きない。
久しぶりに恋愛もので惚れるべき役者を観た。
劇団四季の阿久津さんや宝塚歌劇のトップ男役のような
ぐわっとわしづかみにしてくれる役者じゃないと
恋愛ものは、はまれません・・って思っていたけど
内君新星ー!内の恋愛ものなら、今後も観たい。
内博貴が本気出してきたらもうヤバいと思う。
今はまだジャニ・コードで抑制された品の良さを保っているが
次回作ではファンが直視できないような激しいのを希望。
すっかり内株が上がってしまった本作。
確かに美形だけど、いままで特に内贔屓でもなかったのに
次回からも内出演作品は必ず行こうと思ってしまった。
期待以上の出来であったし、たぶん内は今後もまだ伸びると
思う。そういう期待ができる感じ。