まずは、目的の伊東マンショの肖像画を見るとしましょう。
伊東マンショの肖像画は…

写真ではわかり辛いですが、部屋の中は照明を落とし気味にしています。肖像画は縦54㎝、横43㎝で、描かれたのは1585年です。天正遣欧少年使節の面々がこの年にヴェネツィア共和国を訪問していますが、この際に彼等を歓待した共和国元老院がルネサンス時代の有名画家ヤコボ・ティントレットに使節の面々の肖像画を発注しました。
この伊東マンショの肖像画は、発注の記録を裏付けるものですね。ヤコボは当初はより大きな集団肖像画にする予定だったようですが、1594年に亡くなり、未完成の状態だったらしいです。その絵を彼の息子のドメニコが切り詰めて単独の肖像画として完成させたか、あるいは個別に製作した肖像画のうちほぼ完成に近い状態の伊東マンショのそれを更に切り詰めて完成させたかのどちらかで完成させたようです。その際、元々は小さかった襞襟が大きなものに描き直されたそうで、これは当時の流行の変化を意識しての事だとか。
ところで、肖像画はヴェネツィア共和国元老院の所に行ったのかと思ったら、1678年頃にローマ駐在のスペイン大使ドン・ガスパール・デ・アーロが旧ティントレット工房から買い取ったそうで、肖像画の裏面には彼の頭文字とそのコレクション番号が書いてあるそうです。今はミラノのトリヴルツィオ財団の所蔵ですけどね。
7室は伊東マンショの肖像画のみの展示と思ったら、それは大間違いです。他にも興味深い展示品がいろいろあります。
それは…
この続きはまた明日。そろそろ夜も更けて参りましたので、今日はこの辺りで。