ロシアのプロトンMロケットがカザフスタンのバイコヌール基地から気象衛星を打ち上げる予定とのこと。
3年ぶりで多分最後になるだろうという打上げのよう,,,まあ国情を冷静に考えれば最後なんでしょう,,,
プロトンMは総重量700トンとバカでかいですが、日本だとHⅡ-Aで450トン程度、これで同じペイロードを運べます。
プロトンMの燃料は四酸化二窒素とジメチルヒドラジンで保管性が良いので軍事ロケットと同じです。,,,軍事ロケットはボタンを押せばいつでも迎撃できるように保管性の良い燃料を使います。
日本のHロケットは液体水素と酸素を使うので、常に冷却する必要があり燃料充填は打ち上げ直前に行います。燃料効率的には液体水素⁺液体酸素が最高のようです。
…ちなみにこのロケットは無事打上げられたようです。
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昨日から引き続き宇宙線の観測についてお勉強
図の横軸は宇宙線のエネルギーを示していて、
左端がギガeV程度=10の9乗オーダーです
右端は10の21乗オーダーで、とんでもない超高エネルギー粒子になります。
赤く枠で囲ったあたりは「1年、1k㎡ごとに1粒子」とあります。
昨日投稿のユタ州の施設だと700k㎡あるとのことなので、施設全体で1日当たり2粒程度の宇宙線粒子を観測できるという感じのようです。
ユタの宇宙線検出器は昼夜なく検出可能で、アマテラス粒子のような「超高」は10年に1度程度ではありますが、それより弱い粒子は連続的に観測できるようで、グラフを見てもほぼ切れ目なく、検出結果が並んでいます。
ただしユタの施設だと結果を逆算すると飛んできた方向が分かるという程度の方向精度なので、そういう「ぼやけた」観測データになります。
一方で、グラフ青枠のエリアは望遠鏡を向けていれば高エネルギー粒子(ガンマ線)の飛来を撮像観測できるので、「チェレンコフ望遠鏡」でwikiをみると数十基の望遠鏡で常時観測している施設が出てきます。
これはカナリア諸島に設置したチェレンコフ望遠鏡。日本資金で大学の共同施設だそうです。
これで直径23m。これは常時望遠鏡を空に向けてというものではなく、何かイベントが発生したという通知があれば、そちらの方向に鏡面を向けるという感じのようです。
実際のチェレンコフ望遠鏡は数十基を同時に空に向け、ガンマ線バーストを捕捉するようです。1級テキストによると100keVで1日2-3個だそうですが、これは全天でのことであり、夜間でかつ月夜のない晩(超高感度なので月があると観測できない?)だと観測できるかどうかは運?
バーストは数ミリ秒から数100秒の間、輝くだけなので、やはり観測頻度は低くなるので、数10基の望遠鏡を並べてみていないと捕捉出来ないのでしょう。
以下は、記者発表記事
CTAO((Cherenkov Telescope Array Observatory) 観測所の LST(Large-Sized Telescope) 国際共同研究チームは、観測史上最も明るいガンマ線バースト、GRB 221009A からの高エネルギーガンマ線放射の検出に成功しました。
観測は 2022 年 10 月にスペインのカナリア諸島ラパルマ島にあるチェレンコフ望遠鏡 LST-1を用いて行われました。
検出の成功はチェレンコフ望遠鏡を用いた GRB 221009A の観測では唯一の成果であり、2019 年の初検出以降の他の GRB (Gamma-ray burst)を含めてもわずか 5 例目です。
取得データを解析したところ、この GRB が多層からなるジェット構造を持つことがわかり、GRB の発生機構とそこでの高エネルギー粒子加速の研究に新たな知見をもたらしました。
、、、とのこと。
観測が2022年で結果発表が2025年なので、随分と検証に時間がかかっていますが、そんなもんなのでしょうかね,,,
以下添付資料の要約
ガンマ線バーストは宇宙で最も強力な現象の 1 つで、太陽が一生のうちに放出するエネルギーをわずか数秒の間に放射することで知られています。
その最初の短い放射は即時放射と呼ばれ、そのあと数時間から数ヶ月にわたって検出される放射は残光と呼ばれます。
GRB(=ガンマ線バースト) は大きく分けて 2 種類が知られており、放射時間の長いものは極めて明るい超新星と関係がある一方、短いものは中性子星同士の合体によると予測されています。
明るい時間の短さや、ガンマ線が宇宙から届く間に減衰する効果により、高エネルギーガンマ線での GRB の検出は非常に困難です。
2022 年 10 月 9 日、NASA の Fermi と Swift の両衛星により、極めて明るい GRB 221009A が検出されました。
この GRB がしばしば「BOAT(Brightest Of All Time 史上最も明るい)とも呼ばれるように、その明るさは観測史上最高であり、いくつかの検出器を飽和させるほどでした。
この報告を受けて、世界中の望遠鏡による追観測が行われました。CTAO 観測所の北半球サイトであるスペインのカナリア諸島ラパルマ島で稼働中である LST-1 望遠鏡も、GRB 発生のわずか 1.33 日後から20 日間にわたる追観測を行いました。
この GRB の発生が地球上での満月の時期に重なったため、取得された初期データには月光が強く影響していました。チェレンコフ望遠鏡では高感度の光検出器をカメラとして用いているため、月が明るいときの観測には大きな困難が伴います。
GRB はプラズマ粒子の超高速流「ジェット」によるものだと考えられており、その根元にある中心エンジンはブラックホールか中性子星の連星と予想されています。
しかしジェットが根元でどのように作られているのかは大きな謎となっています。
今回の LST-1 望遠鏡による観測結果は、この GRB のジェットが複雑な構造をもつことを支持し、中心の細い「剣」の周りに、より太くより遅い粒子の「さや」をもつような構造を示唆します。
この結果は過去の研究でよく仮定されてきた単純で一様なジェット構造に一石を投じるものです。これにより、中心エンジンの構造や性質に対しても新たな知見を与えました。
https://www.chiba-u.ac.jp/news/files/pdf/0729_gannma_1.pdf
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1級テキストだと、GRBは最大に見積もって半ページ分。
ちなみに
・重力波望遠鏡LIG及びVirgoの観測では、2017年8月17日に発生したGRB170817Aにおいて重力波GW170817を検知した
・同時に電磁波残光AT 2017gfo(kilonovaの残光)が観測された
ATはAstronomical Transient(天文学的突発天体)で正体が不明な天体の記号
・二つの中性子星の合体に由来することが観測で確認された
⇒
・「ブラックホール合体ではない重力波源」かつ「重力波源の電波対応天体」の最初の観測事例となった。,,,とテキストにあります。
何となくサラッと読んでいますが、ガンマ線バーストという超強烈な粒子が飛んできて、そのほぼ同時期に重力波を検知しているということは、重力波の伝わるスピードって、そういう速さで伝わるものなのですね。
ちなみに重力波のスピードは光速です。
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チェレンコフ光は、高速の荷電粒子(主に電子)が水やガラスなどの物質中を、その物質内での光の速さを超えて通過する際に放出される青白い光。
この現象は、水中で光の衝撃波が発生する物理現象で、原子力施設やニュートリノ観測などで観測される高エネルギー粒子存在の目印となる。
チェレンコフ光の主な特徴と詳細
・荷電粒子が物質内を通過する際、周囲の原子・分子が電磁場で分極・励起し、元に戻る際に発光する。
・水中などで物質内の光速 cを粒子が上回ると、光の衝撃波(円錐状の波面)が形成される。特徴的な青白~青色の光を発する。
・1934年にロシアの物理学者P.A.チェレンコフが発見し、1958年にノーベル物理学賞を受賞。
・スーパーカミオカンデなどで、ニュートリノが超純水中の光速を上回るとチェレンコフ光が発生する
・大気チェレンコフ望遠鏡にて、大気中で発生する微弱な光を捉える。
++++より詳細に
相対性理論は真空中の光速がどんな場合にも一定:cであると仮定しているが、これは真空中であることが前提であり空気や水などの媒質中では光の速度はcよりも遅くなる。たとえば水中の伝播速度は0.75cにすぎない。
粒子は核反応や粒子加速器などによって加速され、光速度 c を超えることはないものの媒質中の伝播速度を超えることが可能である。チェレンコフ放射は、荷電粒子(多くは電子)が(絶縁された)誘電体を、その媒質中の光の速度よりも速い速度で通過するときに放射される。,,,だからカミオカンデは純水である必要があるのね,,,
このときの光の速度は、群速度ではなく位相速度である。位相速度は周期的媒質を用いることで劇的に変えることができ、このとき最小粒子速度に達さなくともチェレンコフ放射を観測することができる。 ←この部分は理解できません
(これはスミス-パーセル効果として知られている)
荷電粒子が媒質中を通過すると物質の局所的電磁場が乱される。媒質の原子中の電子は、通過する荷電粒子の場によって動かされ偏極する。場の乱れが通過したあと電子が再び平衡状態に戻ろうとするとき、光子が放出される
(伝導体においては、光子を放出することなく平衡状態に戻る)。
通常の場合には、光子は破壊的に干渉しあい、放射は検出されない。しかし場の乱れがその物質中の光速を超えて伝播するとき、光子は干渉しあい、観測される放射は増幅される。
チェレンコフ放射は、しばしば飛行機や弾丸が超音速で移動するときに発生するソニックブームに喩えられる。超音速の物体によって発生する音波は、十分な速度がないため、物体自身から離れることができない。そのため音波は蓄積され衝撃波面が形成される。同じように荷電粒子も媒質中を通過するときに光子の衝撃波を生成する。




