オーマイゴッド粒子とアマテラス粒子

 天文の勉強をしていて、ほとんど引っかからない用語ですね。

 まあ避けていたわけではないのですが。

 

 まず、アメリカ、ユタ州ダグウェイの陸軍性能試験場という場所がありまして、ここに宇宙からの超高エネルギー宇宙線を検出する機材が2種類設置されています。

 宇宙からの高エネルギー宇宙線は地球大気と衝突して、最終的に1兆個の粒子として降り注ぐようです。この「空気シャワー」を観測する施設です。

 検出器は平たく置いてある方で3平方メートル。

 立てかけてあるのは太陽電池で単なる発電のため。

 電線を引いていないので電源がないため、電源は自分で何とかする,,,というもの。

 こちらが全体的な平面図でこの時点で検出器が507台設置している状況。

 1.2㎞の格子に組まれていて、約700平方㎞の地表をカバーしているとのこと。

 このエリアの四隅にある緑色四角のところに設置されているのが「蛍光望遠鏡」

 口径3.5mの球面反射の広角望遠鏡が設置されていて、空気シャワーの中心軸から発生する紫外線を撮像するというもの

 ただし「月夜でない夜しか写らない」とのこと,,,

 それだけ微小な光ということのよう。

 

 地上の検出器と蛍光望遠鏡の2種類の機材で高エネルギー宇宙線の空気シャワーを捉えようとするのが「テレスコープアレイ実験」。アレイは配列という意味。

 

 この施設についてはあまり情報がなく、wikiには2008年から観測をしているとしていますが、この試験施設でオーマイゴッド粒子が見つかったのは1991年なのでちょっと計算が合いません…

 

①オーマイゴッド粒子

・1991年10月15日検出

・約300エクサ電子ボルトと推定

・この粒子は光速に非常に近い速度で運動していて、光速の

0.9999999999999999999999951倍の速度,,,ほとんど光速に近い速度。

・地上の加速器で作り出せる最も高エネルギーの陽子の約4000万倍

 ちなみに光子は質量がないので光速で移動しますが、仮にこの粒子が陽子としたら相当重いので、これが光速に限りない速度で移動するということはものすごいエネルギーだということです。

 

②アマテラス粒子

・2021年5月27日に検出

・244エクサ電子ボルトと推定

・上記と同じ換算で、光速の0.9999999999999999999999926倍の速度

 

 上掲で300エクサ電子ボルトとは3.0✕10の20乗電子ボルトという意味。

 これは宇宙からの高エネルギー宇宙線の観測結果で、よく見ると右下に2つの点々が見えまますが、これが上記①と②の観測結果を反映させたもの(らしい)。

 線の途中に「1秒、1平方メートルごと1粒子」「1年、1平方メートルごと1粒子」などのコメントがあり、10の18乗クラスで「1年1平方キロメートルで1粒子」ということで、上記の①②粒子の観測がいかに稀有であるかということと、よく点が打てたものです。

 

 稼働が2008年として以来13年たってアマテラス粒子が1回検出できたわけで、こんな施設に詰めて根気よく観測する人っているのかな,,,という感じです。

 ちょうど2021年5月27日に現地に詰めていた幸運な学者さんが、大阪公立大学の先生で、だから命名権がその先生にあり「アマテラス粒子」。

 

 ちなみに、アマテラス粒子については、

・宇宙線の到来方向はおとめ座銀河団のローカルボイドがある方向で、宇宙線が発生したと思われる候補天体がみあたらないとのこと。

・銀河磁場で方向が見つかったor未知の天文現象or暗黒物質の崩壊,,,など諸説あり

 

 また高エネルギー宇宙線にはGZK限界(あるいはGZKカットオフ)という予想があって、「高エネルギー宇宙線は1.5億光年程度の距離で4✕10の14乗eV以下になる」

というもの。これは宇宙背景放射の光子と相互作用して高エネルギー宇宙線はエネルギーを失うからという理由。

 この予想に従えば、4✕10の14乗eV以上の宇宙線は1.5億光年以内で発生したものということになります。

 

 高エネルギー宇宙線を検出できて、その方向から宇宙線が発した天体が分かれば、GZK限界を検証できるし、まあノーベル賞クラスの発見/研究成果になるのでしょうね

 

 ちなみにこのアメリカユタ州の実験場に先立って、長野県明野(信濃大町の近く)でAGASAという同様の試験場があり、平成2年~平成16年の間、稼働していたようです。

 こちらはもう廃棄?されたようですが、ネット上に施設及び試験成果がコンパクトにまとまったパンフレットがあり、非常にわかりやすいものとなっています↓

https://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/ta/documents/GenINFO/AGASApamphlet2005.pdf

 

 ちなみにこちらは現在稼働中のユタ州のもの↓

 

 ちなみに話が前後しますが、アストロアーツに下記記事があり、これが一番わかりやすいかな,,,↓