この問題って作問上で間違えていると思います。

 「電子散乱の不透明度」という言葉を知らなかったとしても、明らかに、①と②って、相反していますよね。

 ①では振動数にも温度にもよらない,,,としながら、②では温度が高いと小さくなるとなっています。

 ということで③と④の選択肢は見ずに、①か②いずれかが間違えているかを答えればよくなります。

 

 ここで不透明度とは?

 

 電子散乱がトムソン散乱とコンプトン散乱に分かれるとして、そもそも両者の違いは? いろいろと調べると培風館の「物理学辞典」には、

 

 「一般に、トムソン散乱を含めてコンプトン散乱ということもあるが、特に区別する必要のあるときはトムソン散乱を除いた部分を狭義のコンプトン散乱と言う」とあり、現象的には同じもので、区別する場合は超高温下の場合をコンプトン散乱と呼ぶらしい,,,

 

 コンプトン散乱(特に宇宙で支配的な「逆コンプトン散乱」)は、「非常に高温なガス(電子)」や「光速に近い速度で動く粒子」が存在する天体で活発に見られ、また枠内によれば1億度以上での環境とのこと。,,,ではどこで見られるのか?

 

・ブラックホール連星(X線連星)

 ブラックホール周辺の高温な「コロナ」にある電子が降着円盤からの光子を散乱し、強力な硬X線を放射

・活動銀河/クェーサー

 巨大ブラックホールから噴き出す高速のジェット内で、粒子が光子をたたき上げX線やガンマ線を発生

 

・パルサー風星雲

 超新星残骸(例:かに星雲)の中で、高速回転する中性子星から供給された高エネルギー電子が周囲の光をガンマ線に変える

・銀河団ガス

  銀河団を満たす高温ガス中の電子が、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)を散乱し、そのエネルギーをわずかに押し上げる。= スニヤエフ・ゼルドビッチ効果

 

・超新星残骸

 爆発の衝撃波で加速された高エネルギー電子が、周囲の背景放射などを散乱して、高エネルギーのガンマ線を放射

 これは電子散乱(トムソン散)の不透明度の式

 電子数密度とトムソン散乱断面積に比例し、物質密度に反比例する

 不透明度は波長や温度に依存しない式になっています。

 

 ちなみにトムソン散乱の代表例は太陽コロナで、テキストの太陽コロナの項には「波長に依存せず太陽の光を完全に平等に散乱するためコロナは乳白色に輝いている」とあり、波長に依存しないことはテキストに書かれてあるものの、温度依存云々の記載はないんですよね。

 いろいろ探すと、散乱断面積は電子の大きさ(古典的電子半径)で決まっていて、電子の大きさは温度に依存しないから、ということらしいです。

 

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 さてこれから置き忘れていた自由-自由吸収について

 そもそも自由-自由吸収とは何か?

 

 まず自由-自由吸収より広い概念である自由-自由遷移と置き換えて考えると、

 ここにもまた出て来るか熱制動放射。自由-自由遷移は熱制動放射と同義とのこと。

 

 不透明度については、「電子とイオン(陽子)の出会い」なので、振動数νが高い、温度が高い、密度が小さい ⇒不透明度は減少する,,,とのことなのですが、温度と密度はわかっても、振動数の影響がイメージできていません。

 

 AIによれば、

 物理的背景として、自由-自由遷移は自由電子がイオン(陽子)の近くを通過する際に光子を吸収する過程であり、振動数が高くなる(エネルギーが高くなる)ほど、この相互作用で光子を吸収する確率が急激に減少するため

 とのことですが、,,,

 

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 さていつも大好き、過去問での「トムソン散乱」「コンプトン散乱」、「自由自由吸収」そしてこれらの結果となる「不透明度」について、どの程度出題されているか。

 過去6回で毎回平均2.7問の出題。

 天文学は光の学問で、光がいろいろと変わったり発生するのが今回の話題なので、出やすい話題ですね。