XにS2(672nm)とHα(656nm)で波長はそれほど変わらないのに、Hα画像の方が星が小さく写るのはなぜか?というPOSTがあって、有識者の方々がアレヤコレヤ
結局この議論は画像ソフト側でS2のレベルを自動調節してしまい、もともと暗めのS2は強い炙り出しがされた結果、画像が太ってしまったのでは?という指摘で一件落着。
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その議論の中で、水素雲のある環境によって、Hαが主役になるか、Lα(ライマンα)がなるか違うのだという指摘があり、目新しい観点だなと思ったのと、頭の中で違った回路が繋がった思い。
① ライマンαの森でのお話
② 熱制動放射の理論スペクトル
③ オリオン大星雲のクラインマン=ロウ星雲(オリオンBN-KL天体)
① ライマンαの森でのお話
私は単純に、Hαは可視光でありLαは紫外線なので、人間の目に見えないだけでどちらの光も出ているのでは?と思っていました。
ただしよくよく考えてみれば、遠方クェーサーからの光、赤方偏移を受けたライマンαは途中にある中性水素で吸収されるわけです,,,この際、バルマー系列のHαが出て「元」中性水素が赤く光るというお話は聞きません。
この電子軌道を見ると、中性水素は最内のK殻に電子があります。
このK殻から一つ上のL殻に上がるだけで122nmに相当するエネルギーが必要で、これがライマンαが持つエネルギーでもあります。
ですから仮に、遠方クェーサーの電磁波にHαがあったとしても、656nmという可視光レベルの「非力」な光では、K殻からL殻に持ち上げるエネルギーはないわけです。
ここで素直な疑問として、中性水素がライマンαでL殻まで電子を持ち上げて電離水素になったとします。この状態であれば、「非力」なHαでも電子の準位をさらに一つ上のM殻まで持ちあげられ、この高い準位から低いL殻に落ちる時に赤い輝線を発せられるじゃないか,,,と思うわけです,,,でもライマンαで中性水素⇒電離水素になった水素雲は赤く光っていません,,,なぜ?
明確な基準みたいなものまで確認できていませんが、中性水素の温度によるようで
冷たい中性水素雲と呼ばれるものは100K 程度
暖かい中性水素雲と呼ばれるものが1万k程度
遠方クェーサーが通ってくる途中の中性水素雲は中性水素雲が単独で存在する,,,言い換えれば単独で存在するがゆえに中性水素の形で存在するので、反応性の低い冷たい中性水素で、仮にライマンαで電離水素になったとしても、それから先、Hαで電子が遷移するような変化はしないのだということのようです。
② 熱制動放射の理論スペクトル
関連する過去問として次の問題が思い浮かびました
私たち、日々天体を電視観望的に見ていると、オリオン大星雲は赤く光っているからHαが主役なんでしょ,,,と思いがち。
この問題の正解は③熱制動放射。
この問いの文章を見ると「電波」とあり、グラフの横軸は1ギガ~10ギガHzであり、これはまさに電波の領域です。ギガは10の9乗レベルで、Hα含む可視光は10の14~15乗Hzなので、電波は振動数的に見ると非力、低レベルエネルギーです。
このグラフと同じような図がテキストに載っていて、これが熱制動放射の理論スペクトルであると説明されています。
ここでEMとはEmission Measureの略で放射測度というもの。 この値はHⅡ領域の奥行と、その電子密度の2乗に比例するとして計算します。
水素分子雲が巨大でかつ電子密度が高ければEMの値は大きくなり、グラフだと高い位置を通るということのようです。
このグラフでは振動数が低い領域では斜めの線上を移動し、高振動数になるとほぼフラットなスペクトルとなる示しています。
上のグラフは両対数グラフで、傾き一定の線は振動数の2乗に比例するとあります。,,,これはレイリー・ジーンズ分布という黒体輻射に一致します。
https://www.shokabo.co.jp/sp_e/optical/labo/opt_cont/brems-sp.htm
裳華房さんのサイトに載っている説明図。
制動放射のスペクトルは、ある振動数までは黒体放射のスペクトルに沿い、あるところでほぼフラットな線上に移行するとしています。
この折れ点はEMによって変わります。
要約すると、
・HⅡ領域が巨大で電子密度が大きければ制動放射は黒体放射になる
(これは肌感覚的に理解できる傾向です)
・実際のHⅡ領域は高温で電子密度は小さいので、問題に示されたグラフのように
高振動数側でフラットな形状のスペクトル図となる
正直、今日まで上掲ピンク色のグラフが理解できませんでしたが、今日、裳華房さんの資料を見て霧が晴れるような納得感。
ただし冷静に考えると、この上に示した過去問はグラフの値を読み取って何をするというものではなく、グラフの形状、あるいはオリオン大星雲、また電波を発しているということから、「熱制動放射」を選べばよいだけなので、結局、テキストをある程度の深さで納得しながら読んでいれば正解を選べる問題のように見えます。
③ オリオン大星雲のクラインマン=ロウ星雲(オリオンBN-KL天体)
ではこの熱制動放射はどこで発生しているのか?
素直にAIに聞くと、低周波では光学的い厚く(不透明)、高周波では光学的に薄い(半透明)という特徴云々。
これ何を言っているかというと、低温=空間の電子密度が大きい=不透明、高温=電子密度が小さい=半透明という意味。宇宙空間の水素分子は、一般に低温だと密度が大きく、高温だと密度が小さい,,,まあこれは気体の状態方程式でもそうなりますけども。
いずれにしても熱制動放射の場合、ピンクのようなグラフになりますが、どの位置(高さ)でフラットになっているかを見れば、空間の電子密度が分かり温度が分かるというものらしい,,,
トラペジウムの星々はO型星で強烈な紫外線を出して周囲の水素分子雲を「浸食」しています。この光が周囲の分厚い星間ダスト豊富な分子雲に阻まれて光学望遠鏡では見えません。
wikiによれば周囲のダスト雲で70k、星形成領域といわれるクラインマン=ロウ星雲で600k以下とのこと。先日の投稿だと可視光で6000kなので、BN-KL天体は目で見ることは難しく、赤外域かあるいは電波で見るしかない,,,
今まで上掲ピンク色のグラフは読み飛ばしていたというか、理解が進みませんでしたが、今日はオリオンBN-KL天体あたりのことを調べて、ようやくああそういうこと言っているのねと、分かったところ。,,,これでテキスト2ページ分
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午後2時の状況
薄雲がたなびいています
昨晩の北天でのい銀河撮影ではこんな感じだったんでしょうかね。
今、19時前ですが、これから寝ます,,,21時に起きて、また昨日同様、
南天でDWARF3で輝線星雲、北天でHAC125DXで春の銀河を狙う予定
ただいま21時半、南天でDWARF3設置。
前日に引き続き輝線星雲、かつ口開けはシリウス横のとも座の天体。
結構、仰角がある天体なので写るだろう,,,と
ただし全体的に薄雲?カノープスもゆらゆら,,,
1セット目は23時に終了するのでそれまで仮眠。
その時点で空が好転すれば北天銀河,,,という段取りに変更





