全く歯が立たないと思った問題も、何となく自前で分析。

 まず、このグラフ自体に何らかの意味があるのか探りましたが、あまり意味はないようです。解説によると「Yoshida et al., 2022, ApJL, 937, L14」から取られたようで、原文はネットで検索できます。

 

 このグラフ自体に何等か特殊な意味があるわけでないということは、 

 ・ALMA電波望遠鏡

 ・原始惑星系円盤

 は試験問題としてあまり意味を持たず、「電波望遠鏡による(輝線)スペクトルの観測データ」というだけのもののようです。

 

 さらに、グラフには、

 ①凹凸した実線が観測データ

 ②破線と③裾広がりの実線がモデルを表しているとしていますが、選択肢を見ると①についての言及はなく、②と③についての解釈が求められているだけです。

 ,,,意図的かどうかは別として、①は全くのダミー、試験問題に関係ありません。

 

+++++検定協会作成解説文をわかりやすく書き直したのが以下

 高速自転星などを除き、一般の吸収線では④のようになる。

 吸収線(輝線)の波長は決まっており、もともとは線スペクトルの幅は狭い

    いろいろな原因で線スペクトルの幅は広がる。

 線スペクトルを放射・吸収するガス粒子は一般に熱運動しており、そのドップラー効果によって破線のように広 がる(ドップラー核と呼ぶ)。

 

 線スペクトルの波長は決まってはいるが、実は量子力学的な不確定性原理によって、エネルギー準位 には少しエネルギー幅(ゆらぎ)がある。

 そのため線スペクトルの波長にも幅が出て、線スペクトルには裾の広いローレ ンツ翼と呼ばれる部分が生じる。

 このローレンツ翼の裾は 一般にドップラー核よりも広い。

 この線中心のドップラー核と 裾を引いたローレンツ翼からなる合成線スペクトル輪郭をフォークトプロファイルと呼んでいる。

 

++++天文学辞典より

ドップラー幅

 ガス中の原子・分子やイオンの運動による光のドップラー効果の影響で、輝線や吸収線に生じる幅。その半値幅の半分(半値半幅)に相当する波長のずれを生じさせる速度を用いて、「ドップラー幅2000 km/s」などと表されることが多い

 

ローレンツ線輪郭

 スペクトル線輪郭の成分の一つで、減衰部に対応するもの。ハイゼンベルク(W. Heisenberg)の不確定性原理によるスペクトル線の広がり(自然幅)や、スペクトル線形成に関わる原子(あるいはイオンや分子)と他の原子などとの衝突によるスペクトル線の広がり(圧力幅)はこの輪郭によって記述される。ガウス分布(正規分布)で表されるドップラー線輪郭に比べると波長に対して緩やかに減少するため、減衰部(スペクトル線の翼部)で重要になる。 

 

フォークト輪郭

 ガウス関数とローレンツ関数(それぞれの中心は一致)をたたみ込んだ分布関数の輪郭のことで、スペクトル線の線輪郭をよく近似する

 この図は天文学辞典から引用したもの

 凡例としてDoppler(ドップラー)、Voigt(フォークト)、Lorentz(ローレンツ) 

++++

 結局、電波望遠鏡等で天体の輝線スペクトルを観測すると、本来であれば輝線なのでシャープな縦線が1本出るはずなのですが、

①天体内のガスは高温下で猛烈なスピードで運動しているのでドップラー効果で波長に幅が出る。

②これに不確定性原理によるスペクトル線の広がりが加わる

 

 要は、一般的に観測値には上のグラフのようなバラツキが出るというもの

 

+++++

 

 題材として使われたのはALMA電波望遠鏡による原始惑星系円盤「おうし座HL星」のデータでした。おうし座HL星については別途、詳細に勉強したいと思っています。