どれくらい眠っていたのか。
たしか二人でドームの中でのんびり、ゆったりしていたはずが。。。
長年二人で行きたいと願っていた旅だった。
その風景を見たとき、なぜこれほどに涙が止まらないほど感動したのだろうか。
坂の多い、猫の多いほんの小さな田舎の港町なのに。
丘の上から町並みと入り江を見たとき、帰ってきた!やっと帰ってきた!と心が震えた。
お父さん、やっと約束の町に帰ることができたよ。
お父さんの代わりに。
父はこの町の話を小さい時から何度も何度もしてくれた。
父は小説でこの町のことを知ったようだ。
父は身体が丈夫ではなかったので、なかなか遠くまで出かけることはできなかったが、この町の話をするときは、まるで見てきたように生き生きと鮮やかな描写で私に伝えたものだ。
なので私は、父が亡くなったあとずっとこの町へやってくるのが夢だった。
年に一度か二度の旅行先を決めるとき、彼にもいつかはこの町に行きたいということを話していた。
坂の上から見た風景は、父とは見ることはできなかったが、今、父と同じように家族になることが決まった彼とこうして並んで見ているだけで、まるで父に結婚の報告をしているように感じた。
お父さん、見える?
やっとお父さんのあんなに来たかったこの町に来ることができたよ。
お父さんに教えてもらったこの風景を、大好きな人と見ることができたよ。
お父さん、ありがとう。
その時、一陣の風が私の前を通り過ぎた。
父がそっと頭をなでた。
(AMY様)
AMY様、体験談をありがとうございました
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