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【第七号メルマガより】プリオラート特集 5

【プリオラートQ&A】

スペインワインと食協会のブログ-1
ワインバー・エシェゾーマネージャー兼ソムリエ 櫻井氏



Q.【櫻井氏】
「Vi・de・Vila」村呼称(12のサブゾーン)が認定されたとのことですが、どういったゾーンがあり、その各特徴を教えてください。また、その「村呼称」の動きは、プリオラート全体にとってどのような影響を与えていますか?

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★「Vi・de・Vila」12のサブゾーン
-Subzona Vila de Bellmunt
-Subzona Vila de Scala Dei
-Subzona Vila de Gratallops
-Subzona Vila de El Lloar
-Subzona Vila de la Morera
-Subzona Vila de Poboleda
-Subzona Vila de Porrera
-Subzona Vila de Torroja
-Subzona Vila de la Vilella Alta
-Subzona Vila de la Vilella Baixa
-Subzona Masos de Falset
-Subzona Solanes del Molar

A,【Toni氏】
この「村呼称」の動きによって、プリオラートのワインに対して、国内だけでなく、国際的にも、専門家から消費者までたくさんの関心が集まりました。一般的にワイン愛好家は、ワインがどんな土地、どんな環境でどのように成長し、どんなワインができあがるのか、ということを知りたい物です。


Q.【菊池氏】
現地でのお勧めマリアージュは?
A,【Toni氏】
白ワイン=魚介全般、チーズ、サルスエラ、チャトーなど
赤ワイン=フォアグ ラ、チーズ、エントレコットなど

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Q.【櫻井氏】
最後に、「プリオラート」のワインを一言で説明すると?
A,【Toni氏】
Sorprendente(驚くべき)


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「ごもっとも!」

想像を越える唯一無二の環境の中で造られるプリオラートのワインを

「Sorprendente(驚くべき)」と称したToni氏の言葉に、

私は何度も頷いてしまいました。

このインタビューを始め、今回のツアーで、

プリオラートの未知の顔をたくさん知ることができたことは、

私にとって忘れられない体験になりました。

この経験を大切に、プリオラートの一住人としても、

皆様にこれからもプリオラートの「今」を伝えていけたらと、

心から思います。


2013年6月25日
原田郁美

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この度Q&Aにご協力くださったソムリエの皆様は、スペイン大使館が主催するセ ミナーや、ワイン雑誌等で、スペインワインの魅力を伝える伝道師として 幅広く活躍されています。プロフィールをご紹介させていただきます。

[伊藤靖彦ソムリエ・プロフィール]
帝国ホテル ソムリエ副支配人。
2002 公式認定ベネンシアドール取得
2005 第二回スペインワインコンテスト優勝
2010 カバ功労騎士叙任

★帝国ホテル東京
http://www.imperialhotel.co.jp/j/


[菊池貴行シェフソムリエ・プロフィール]
東京「レストラン・サンパウ」シェフソムリエ。
2006 第4回「マドリッド・フシオン」のソムリエコンクールで
実技試験の審査員を勤める。
2007 世界各国から選ばれた14人のシェフと共に1年間スペイン国費留学。 
リオハの一つ星「エチャウレン」、南スペインの二つ星「アトリエ」で
研修を積みながら、ワインの作り手と交流を重ねる。
2010 カバ功労騎士叙任

★ レストラン・サンパウ
http://www.santpau.jp/

[櫻井一都ソムリエ プロフィール]
東京「レストラン・サンパウ」のシェフソムリ エを経て、渡西。
現在 ワインバー「エシェゾー」のマネージャー兼ソムリエを務める。
2007 第三回スペインワインコンテスト優勝
2010 カバ功労騎士叙任

★ワインバー「エシェゾー」
http://www.echezeaux.net/


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エスパイ・プリオラートレポートはこちら!

【第七号メルマガより】プリオラート特集 4

【プリオラートQ&A】
スペインワインと食協会のブログ-1
DOCaプリオラート 会長トニー氏、伊藤氏
エスパイ・プリオラートにて。


Q.【伊藤氏】
プリオラートの畑を見れば、雨が降らないし、急斜面で過酷な栽培条件でブドウ の値段が高くなるのは仕方ないですが、レストランで販売する様な高級ワイン は別として、アジアやEU以外のマーケットにもう少しだけ安いワインが有れ ば、プリオラートの知名度が一般家庭まで広がると思いますが、 マーケットの 裾野を広げる様な試みなどが、ありましたら教えて下さい。

A,【Toni氏】
プリオラートのワインは「高い」という表現は私は違うと思います。このよう な過酷な環境で、収量も少なく、品質の高いワインを作ってい る、それに沿っ た価格帯になるのは 当然だと考えています。最近では、コンセプトによって作 り方もカジュアルに、 そして畑やブドウや熟成期間もそのコンセプトに沿っ た、カジュ ルなプリオ ラートのワインもあります。


Q.【菊池氏】
今世界で一番輸出している国は?、また日本は何位ですか?
A,【Toni氏】
スイス、アメリカ、ドイツ、カナダという順番です。
日本は18位くらいです。


Q.【櫻井氏】
スペイン国内でリオハと唯一「DOCa」を名乗っているのですが、それに 関してのメリットとデメリットを教えて下さい。

A,【Toni氏】
「メリット」は、信頼、高品質のイメージ。
「デメリット」は、他の産地と比べてコントロールが厳しいことで、作り手に とっても、 統制委員会にとっても、とても厳しく苦しい環境であることです。



Q.【伊藤氏】
固有のガルナッチャやカリニェナの他にカベルネ・ソーヴィニョン、シラー、メ ルロー等ボデガによって土着品種のみだったり、外来品種が半数を超え るボデ ガも有りますが、プリオラートとして今後はどの様にして行く方針ですか? 例えば、土着品種で70%以上て外来品種を30%以下にするとか? スペインワインのアイデンティティをどの様にお考えですか?

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A,【Toni氏】
「Vi・de・Vila」村呼称(12のサブゾーン)では、推薦品種のガルナッチャ・ ネグラとカリニェナの比率を最低70%以上、という規定を設 けています。 そういうわけでも土着品種を大切にしていきたいと考えています。

プリオラート特集 5に続きます!

【第七号メルマガより】プリオラート特集 3

【プリオラートQ&A】

スペインワインと食協会のブログ-1
左からレストランサンパウシェフソムリエ菊池氏、
醸造家アルバロ・パラシオ氏、
帝国ホテルソムリエ伊藤氏


Q.【菊池氏】
10年ほど前、スーパースパニッシュワインとして濃厚な味わいが流行ったと思い ますが(時代のせいか)、それに比べ今はエレガントな造りになっ た気がしますが、実際いかがでしょうか?
A.【Toni氏】
今は、果実味のあるエレガントな物が増えてきました。生産者が消費者の好みを みて、そういう作りになってきている、と言えると思います。

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Q.【櫻井氏】
私たちが認知しているプリオラートのワインスタイル・流れは、主に3つに区切られるかと思いますが、それぞれの背景、ワインスタイルはどのような ものだ とお考えですか?

①1950年~ 
A. バルクワインが主流。アルコール度数が15%以上。地元の人たちが飲むワイ ン。瓶詰めを行わない。

②1990年~ 
A.ボルドーの影響を受けたワイン。外来品種のブドウを栽培し、土着ブドウとブレンドしたフルボディ。ワイナリーによって瓶詰めが行われるようになる。

③現在
A.果実味のあるエレガントなワイン。レストランで抜栓して、食中に楽しんでいただけるタイプのワインが増えてきました。


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プリオラートの代表的な土壌「リコレリャ(粘板岩)」
こちらはSubzona Solanes del Molarのリコレリャ。


Q.【伊藤氏】
ここ15年でボデガ(ワイナリー)の数が急激に増えたと思いますが、それに伴い 栽培面積も増えたと思います。 もっと開墾して増やして行くのか? この辺りで 抑制して行くのか? 今後はどの様にお考えなのかをお聞かせください。

A,【Toni氏】
確かにボデガの数は1990年8軒から、2012年は97軒と、「4人組」の影響で起きた プリオラートの一大ブームをかわきりに急激に増えましたが、大規模なワイナリーで大量生産ということは土地柄的にもとても難しいのが現実です。栽培面積が増えているとはいえ 1.891,54ha(2012年)。フィロキセラ害虫に襲われる以前の方が現在の栽培面積より大きいくらいです。しかも過酷な土地柄と厳しい規制 の為、プリオラートのブドウの収量は格段に低いことを忘れてはいけません。※

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レルミタより。


今後については、市場がプリオラートのワインを今よりもっと求めるならば、自 然とプリオラートのワインも増え、開墾は進むでしょうが、全ては市場の需要に 比例すると思います。 ただ、先ほど申したように、とても過酷で、大量生産ができる土地ではないので 抑制をする必要は今のところ考えていません。
(開墾はあくまでDOCaプリオラートの産地内にて)




プリオラート特集 4に続きます!