さて残るは
3回言ったら幸福が、の件。

El Mesías 社 からの返事でも
「残念ながらそのようなお話は
寡聞にして存じません。
どのような経緯でその話が
日本に広がっているのか、
お差し支えなければ
ご教示願いたく存じます。」
という、これまた丁寧なコメントが。

で、こんなシリーズを
長々と書いてるうちに
もう来ないだろうと思ってた会社からも
返事が来て、
そこでもやっぱり
『3回言えたら幸福』説には
「からかわれたのではないでしょうか。
そもそもスペインでは
食べ物を口に入れて
物を言うような
お行儀の悪いことは
しないものです。」とのお返事。

んじゃー
この話を広めてる日本人は
一体誰から聞いたんだろう。

ってーわけで、まず
そういう習慣が
スペインにあると書いてる Web が
どこぞにあるのか、
毎度おなじみGoogle様に
お伺いを立てる。

しかし
とにかくもう全然ない。
どんなにググっても
3回言えたら幸せが、とか
願い事が、とか
スペイン語で書かれたものが、
ない。

唯一、スペイン語で
「口に入れて三回
“ポルボロン、ポルボロン、ポルボロン”
と言う云々」 という言及があったのは
日本の志摩スペイン村へ行った
スペイン人が、そこで聞いた話を
記録しただけのものだった。

もしかしたら
かつてはスペインからの出稼ぎ移民を
たくさん受け入れてたドイツとかが
スペインと一緒に来たお菓子を
自国のお菓子産業に取り入れて、
ついでにウソの伝承をでっちあげ、
それを日本人がまるまる信じた、とか
そんなのもアリかなぁと思ったんだが、
ふと思いついて
三回唱えるべき言葉を
検索キーワードから外してみたら

出て来た、出て来た。
出て来ましたよ。

しかし。

「ポルボロン、口に入れて
“パンプローナ”って3回言うてみ。」
「ファー… ブボッ!! ゲホォ!!」
「ぐわー汚ねぇやめろぉ!!」
「うわはははあの顔ォ」
「ちくしょう誰がこの床掃除すんだよ!!」

…いたずらだった…il||li _| ̄|○ il||li

何かもう
ポルボロンと言えば
このいたずら、みたいなのが
定着してると見えて、
ちょっと小難しい言葉の話では
「そんなもん、ポルボロン
口に入れたままでも言えるぞ」 とか
そのほか、
「もうその乾いてることと言ったら
ポルボロンも斯くやってぐらい」 とか
そんな引き合いの出され方。

んじゃこれがどう転んで
幸せの話になったのか、
こりゃまぁ予想でしかないけど
日本人のよくやる
「ポルボロンにまつわる
面白い話とかありませんか」
という質問を受けた人間、
恐らく即座にこのバカ話が
念頭に登っただろう。
しかしここは商売、
こんな阿呆な話ではなく
もっと心温まるような
麗しい話に仕立てなくては。

そこで、
食べ物で一杯一杯の口では
Pamplona に負けず劣らず
言うのが難しい、
製品名そのものズバリの
Polvorón をうまく言えたなら
(周囲に大笑いされることなく)
幸せになれるだろう…
みたいな話に
その場で作り変えた。

…のではなかろうか。
一番メジャーなのは
Pamplona だが、他にも
Zaragoza ってのもあった。
スペイン語のZは
英語のTHみたいに
舌の先をちょいと噛んで
発音するヤツだから、
粉っぽい物を
口いっぱいに含んで言うには
Pamplona と同様
大変難しい単語である。

…とまぁそういうわけで、
『ポルボロン丸ごと口に放り込んで…』
は、
悪友どもで集まって
大笑いするネタだったのでした。
幸せ、あんま関係なかったね。

しかしまぁ今や日本中
ポルボロンのイメージは
“まぁるくて甘くて
ほろほろと崩れる
幸せのお菓子”という
麗しい売り言葉で
定着しちゃってるから
別にいまさら止めろとは言わないさ。
せっかくこれで
商売やってる人もいるしね。
大体、異文化なんてものは
他所の国では大なり小なり
誤解され、記憶されちゃってるものだ。

でも、本当はスペイン本国では
幸せ求めてそんなこと
やってる人いないってことは
覚えておくといいかもね。
でないと、
クリスマスシーズンのスペインで
自発的にこれやったら
周りのスペイン人に
爆笑されること必至だからさw

ちびーっとだけつづく…



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